動物は人間とは違い、嘔吐についてはあまり心配は要らないと言われています。
しかし、緊急性を伴う嘔吐もあり、迷わず病院へ行く必要が生じることもあります。
*画像はイメージです。画像と本文と直接の関係はありません。
下痢であっても、心配なことがいくつかあります。
フェレットの嘔吐と下痢について、どのような状況が考えられるか、原因と対策を見ていきましょう。
Contents
フェレットの嘔吐と下痢の原因とは
フェレットは、犬や猫と同様、嘔吐については比較的多い動物です。
「ペッ」という感じで吐くこともあれば、お腹を波打たせながら落ち着きなく動き回り、「ゲーッ」と吐くこともあります。
下痢については、確かに「下痢をしやすい」フェレットはいます。
しかし、私が通っていた動物病院の獣医さんは、「下痢をしやすい体質」というものはなくて、必ず原因があるから、それを突き止めて対策を取る必要があると話していました。
嘔吐と下痢が起こる原因としては、以下のようなことが考えられます。
・早食い、食べ過ぎ(嘔吐、下痢)
・おもちゃなどの誤食(嘔吐、下痢)
・換毛期の毛詰まり(嘔吐、下痢)
・お迎え症候群(コクシジウム症など)(嘔吐、下痢)
・風邪、インフルエンザ(嘔吐、下痢)
・ワクチンアレルギー(嘔吐)
・コロナウィルス(下痢)
・インスリノーマ(下痢)
早食いや食べ過ぎなど一時的な嘔吐であれば、食中、食後に吐いて、その後はケロッとしています。
うちのフェレット達も1ヶ月に1度くらいは吐いていたので、その程度のものであれば心配はありません。
下痢も、何度も繰り返さなければ、特に心配はないでしょう。
もしも気になるようであれば、獣医さんに相談して、整腸剤を出してもらうこともできます。
ワクチンアレルギーは即病院へ!
今、挙げた中で最も緊急性が高いのは、ワクチン接種をした後のアレルギー反応です。
ワクチン接種後は、10〜20分ほど病院の待合室で様子を見て問題がなければ帰宅するというのが通常ですが、うちのフェレットの場合、反応が出たのは接種後2時間後でした。
突然お腹が波打ち、「ゲェ〜ゲェ〜」と始まったのです。
様子を見ているだけでは普通の嘔吐と変わりはなかったのですが、ワクチン接種後だったこともあり、病院に連絡しました。
「すぐ(病院に)来てください」と、獣医さんは話した途端にそう言いました。
獣医さんが間髪入れずに再び通院を指示した様子に、とても緊急性を感じました。
ちなみに、うちのフェレットがアレルギー反応を示したのは、7歳の時でした。
それまでは何ともなかったのに、突然反応が出ることもあります。
「いつも平気だから、今年も大丈夫」ではないようです。
嘔吐と下痢をした際の注意点
嘔吐した時、水を飲ませたくなるところですが、落ち着くまでは何も飲み食いさせない方が良いと獣医さんに言われました。
胃に刺激を与えることで、さらに嘔吐を誘発してしまうそうです。
確かに私もノロウイルスにやられた時、慌てて胃薬を飲んだら、余計に吐き気をもよおしました。
フェレットが自ら水を飲もうとするのを止めるのは酷に思えるので迷うところですが、それでまた吐いてしまうようなら、飲ませない方が早く回復するかもしれません。
下痢の時は、脱水が気になるので高栄養パウダーをぬるま湯で溶かして飲ませてやると、水分と栄養を補えて良いのですが、時々、成分が身体に合わずに余計に下痢をするフェレットもいます。
お腹が弱い体質の場合は、ドライフードをふやかしたものを与えた方がお腹には優しいようです。
コロナウィルスと新型コロナウィルスは別物
現在、全世界で問題になっている、新型コロナウィルス。
フェレットの下痢の原因として挙げた新型コロナウィルスとは少し様子が異なるため、混乱しないようにご注意ください。
フェレットの下痢の原因として挙げたコロナウィルスは、人間に感染して肺炎を引き起こす類のものではありません。
現に我が家のメスのフェレットはコロナウィルスに感染していましたし、恐らく同居していたオスのフェレットにも感染していたと考えられますが、人間の私や主人はキャリアではありません。
フェレットのコロナウィルスは、腸型コロナウィルスと全身型コロナウィルスの2種類があります。
我が家のメスのフェレットは、検査の結果、全身型コロナウィルスに感染していると言われた可能性があります。
全身型の場合、文字通り全身に何らかの不調が出るのですが、症状の出方には個体差があり、感染イコール病気になるというわけでもありません。
キャリアでも無症状のこともあるそうです。
目に見えないコロナウィルスは、感染してもわからないし、感染経路も様々なため、同居していたオスのフェレットも感染しているだろうと、病院で言われました。
しかし、あまりにも漠然としたことしかわからず、オスのフェレットについてはウィルス検査はしませんでした。
メスのフェレットは、最終的にインスリノーマとリンパ腫、肝臓腫瘍を併発しましたが、これらがコロナウィルスを原因とすると言われながらも、何だか今でもよくわかりません。
本当にコロナウィルスの仕業だとしたら怖い話ですが、コロナウィルスを退治する治療法もないので、対症療法を取るしかありませんでした。
繰り返しますが、このコロナウィルスは人間には感染しません。
新型コロナウィルスとは別物としてとらえていただきたいと思います。
フェレットのコロナウィルスについては、10年ほど前から話題になっていましたが、防ぎようもなく、発症しても対症療法しかないとわかり、私の周りのフェレ友さん達は、ほとんど気にしていなかったというのが実状です。
嘔吐と下痢にはどんな対策が取れる?
嘔吐と下痢の原因で多く挙げられる、その他の事例について詳しく見ていきます。
これらは全て要注意な事例です。
おもちゃなどの誤食(嘔吐、下痢)
特にベビーに多いものですが、おとなになっても起こる可能性はあります。
うちのメスのフェレットも、お迎えしてすぐに、一晩でおもちゃに付いていた綿ロープ(約20cm)や、薄手のハンカチの端などを誤食した経験があります。
奇跡的に嘔吐も下痢もなく、全てウンチで出てきたため事なきを得ましたが、後で獣医さんに話したら、「開腹手術になっていたかもしれませんよ!」と、かなり驚いていました。
布類の他にも、ゴムのおもちゃや、ぬいぐるみの目玉や鼻のパーツも誤食の危険があります。
ゴム類のおもちゃは、ラテックスや天然ゴムでできている丈夫な素材が必須ですが、フェレットの噛む力を考えるとそれでも危険です。
遊ばせる時は飼い主さんが見ていてあげてください。
ぬいぐるみの目玉や鼻は、フェレットに与える前に取ってしまいましょう。
見た目は悪くなりますが、フェレットはぬいぐるみを「可愛い」と感じで遊ぶわけではないので、目玉や鼻を取ったところで、フェレットはガッカリしたりはしませんよ。
換毛期の毛詰まり(嘔吐、下痢)
通常であれば、春と秋にフェレットは換毛期を迎えます。
小さな動物なのに、本当に驚くほど毛が抜けます。
抱いた時に手に毛が付くようになったら、換毛期が始まった合図です。
柔らかいアンダーコートをフェレットが飲み込むと、胃の中で塊になり、嘔吐や下痢の原因になります。
ある時、フェレ友さんから、白くてフサフサした尻尾の写真が送られてきました。
どうして尻尾の写真なんて送ってきたのだろうと思ったら、それは尻尾ではなく、長さ5cmほどの毛の塊がウンチとして出てきたものでした。
何も知らずに見ると、フェレットの尻尾に見えるほどの毛が、一度に出てきたのです。
換毛期に入ったら、1日3回はブラッシングをして、カーペットなどの毛も綺麗に取りましょう。
シャンプーして、毛を洗い流すのも効果的です。
毛玉取り専用のペーストも売っていますので、お腹がゆるくならない程度に与えましょう。
水を容器で与えている方は、水の中に毛が入っていないかも注意してください。
ハンモックや敷物にも毛がたくさん付くので、毎日取り除くようにしましょう。
換毛期の対策は、飼い主さん自身でできます。
動物病院に駆け込まずに済むように、万全の対策を心掛けてくださいね。
お迎え症候群(コクシジウム症など)(嘔吐、下痢)
新しいフェレットを迎えた時に、先住のフェレットが体調を崩すことがあります。
我が家のオスのフェレットも、メスを迎えた時に「お迎え症候群」になりました。
我が家の場合は、「コクシジウム症」でした。
誤解されやすいのですが、コクシジウムは元々フェレットの中に存在するもので、新しいフェレットが先住のフェレットに菌をうつしたというものではありません。
新しいフェレットが原因ではありますが、先住のフェレットの身体の中にいたコクシジウムがストレスにより激増してしまうために症状が出るのです。
うちのオスのフェレットは、メスが来て1週間ほど経った頃に、突然吐いて、そのすぐ後に下痢を立て続けにしました。
下痢は赤茶色から始まり、だんだん緑色になっていきましたが、明らかにおかしな色で、ほぼ水下痢なのにブツブツしたものが混じっていて、見てすぐに「絶対変だ!」と異常を感じました。
この場合、即病院へ行ってください。
駆虫薬と抗生剤が処方されます。
薬はシリンジで与えるように指示されました。
初めての動物への投薬で、要領もわからず、主人も私もフェレットも、メンタルがやられそうなくらい苦戦しました。
もし同じ病気で苦労する方がいたら、薬をバイトに混ぜたり、高栄養パウダーなどに溶かして与えることもできますので、ぜひ試してみてください。
後に私も別の病気でこの方法を試したところ、何の抵抗もなくフェレットは喜んで薬を完食してくれました。
コクシジウム症は、オーシストと呼ばれるコクシジウムの卵が検査で見えなくなった時点で完治になります。
必ず治る病気なので、我慢強くコクシジウムと闘ってくださいね。
風邪、インフルエンザ(嘔吐、下痢)
フェレットも、人間同様に風邪やインフルエンザに罹ります。
症状も人間と同じように、咳、くしゃみ、鼻水(逆に乾くことも)、発熱、嘔吐、下痢など様々です。
どの症状が出るかによって対策は異なりますが、嘔吐と下痢と発熱が重なると、脱水症状の危険がありますので、こちらもすぐに獣医さんに診てもらいましょう。
風邪は放っておいても治るというのは、体力のある人間だけです。
フェレットは身体が小さく、発熱しても汗をかけないので、とても危険な状態になりやすいので、油断しないようにしてくださいね。
インスリノーマ(下痢)
我が家のメスのフェレットは、5歳を過ぎた頃から血糖値が下がり始め、インスリノーマと診断されました。
インスリノーマとは、簡単に言うと、インスリンが減って糖を代謝できなくなる糖尿病とは真逆、つまり、インスリンが過多になることで低血糖になってしまう病気です。
低血糖の発作が起きると、フラフラとよろめき、倒れ込むような状態になります。
うちの子も何度か低血糖の発作を起こしました。
発作については、診断が下されると応急処置の方法を教えてもらえるので、急場をしのぐことができたのですが、発作とは別に、下痢を起こすこともありました。
ただし、メスのフェレットは先にお話ししたとおり、コロナウィルスのキャリアでもあったためそのせいで下痢を起こした可能性もあります。
一番ひどかった下痢は、大晦日の夜でした。
ちょうど紅白歌合戦が始まった辺りから1時間ごとに下痢を繰り返し、番組が終わるまで続きました。
高栄養パウダーやミルクを溶かしたものや、乳酸菌を与えてみましたがなかなか治まらず、とても心配な年末年始になりました。
食欲が落ちなかったから、おやつもフードも好きなだけ食べさせて乗り切れたものの、食べることもできなくなっていたらとても危険な状態になっていたと思います。
普段から、フェレットの好きなフードやおやつは切らさないように気をつけようと、強く思った出来事でした。
フェレットの嘔吐や下痢はどこまでが様子見で良いのか?【まとめ】
・誤食、換毛期、お迎え症候群、コロナウィルス、風邪、インスリノーマを原因とする嘔吐と下痢は要注意
・ワクチンアレルギーは迷わず病院へ!
・コロナウィルスと新型コロナウィルスは別物
・嘔吐直後は落ち着くまで飲食は控えて
・下痢にはふやかしフードが一番安全
初めのうちは、様子見で良い嘔吐や下痢と、即対策が必要な嘔吐と下痢の区別がつかず、戸惑うこともあるかもしれません。
そんな時は、嘔吐や下痢をした後の様子や、それ以外の気になる症状がないか、また、吐いたり下痢したりした時の色や状態などに注意してください。
いつも様子を見ていれば、直感で「おかしい」と気づけると思います。
判断ができず心配であれば、すぐ病院へ連れて行きましょう。
嘔吐も下痢も、身体に大きなダメージがある、とてもつらい症状です。
早く楽にしてあげられるように、ベストを尽くしてあげてくださいね。