初心者の方が飼うことも多いのですが、よくある質問のひとつが、
「ヒョウモントカゲモドキが人になつく事はありますか?」
*画像はイメージです。画像と本文と直接の関係はありません。
結論から言えば、ヒョウモントカゲモドキがなつくことはありません。
また、ヒョウモントカゲモドキはハンドリングにも少しコツのいるトカゲです。
今回は、ヒョウモントカゲモドキの扱い方とハンドリングのコツ・それからハンドリングの際気になる爪切りについてもご紹介します。
Contents
ヒョウモントカゲモドキは人に「なつく」の?
ヒョウモントカゲモドキは人になつくことはないけれど「慣れる」
これが現実です。
これはすべての爬虫類にいえることですが、呼んだら来るとか、芸を覚えるとか、そういう馴れ方はしませんし、彼らのほうから甘えてきたりじゃれついてきたりすることは基本的にありません。
そう、ペットといえど、爬虫類は「人になつく」生き物ではないのです。
ネットや雑誌などで、おとなしくハンドリングされている個体の写真を見て「なつく」と思って飼い始めると、飼った人も飼われたトカゲもかわいそうなことになってしまいますので、過度な期待はしないようにしましょう。
ただし、ヒョウモントカゲモドキは人になつくことはなくても「慣れさせる」ことはできます。
犬やネコのようななつき方はしませんが、見たり触ったりしても驚かないように「慣れさせる」ことなら可能です。
おとなしい、触れるといわれている個体はほぼすべて、こうした「慣らされた」個体たちです。
もともとの性格で慣れやすい、慣れにくいというのはありますが、ヒョウモントカゲモドキであればそう気の荒い個体は多くないので、だいたい慣らすことができると考えていいでしょう。
ヒョウモントカゲモドキを人に慣れさるには?
問題は、どうやってヒョウモントカゲモドキを人に慣れさせるか、です。
鉄則として覚えておいてほしいのは、「驚かせてはいけない」という点です。
自然の中にいる彼らが何かに「驚く」ときというのは敵に襲われた場合なので、生き死にに関わる問題です。
そのため、一度人に驚いた個体はなかなか慣れさせるのが大変です。
人慣れさせたいのなら、まずは驚かさないようにしましょう。
人慣れさせる一番の近道はやはり、餌です。最初はピンセットで餌を与えてみましょう。
多少臆病な性格の個体でも、すぐに食べるようになります。
このとき、次のステップとして「手から餌を与える」という段階を踏みたくなりますが、これはやらないほうがいいでしょう。
一歩間違えると、手を餌と勘違いするようになってしまいます。あくまでも、餌はピンセットで与え、フタを開ける、人影が見える、手の一部がケージに入ってくる、といった状況に驚かないようにすることが目的です。
ヒョウモントカゲモドキのハンドリングのポイント
ピンセットの餌やりに慣れたら、ハンドリングに挑戦してみましょう。
ハンドリングの際は、「素早く、大胆に」がポイントです。
ケージのフタを開けたら、すぐにトカゲのおなかの下に手を入れ、そのまま持ち上げましょう。
持ち上げたら、両手で軽く包み込むように持ちます。
手の中で歩こうとするので、そうしたら片手に乗せて、もう片方の手を進行方向に出して、歩いてきたトカゲを受け止めてやりましょう。
実は、ヒョウモントカゲモドキはあまり高さを意識していないような動き方をします。
落ちたら怪我をするような高さでも平気で飛び降りようとするのです。
そのため、トカゲの行く先に必ず手を出しておいて、落ちないように気をつけてやります。
慣れないうちは座ってハンドリングしたほうがいいでしょう。
おとなしい性格なのでハンドリングしていて咬まれるということはあまりありませんが、顔を触ったりしないようにだけ気をつけておきましょう。
ヒョウモントカゲモドキには爪切りが必要?
トカゲの仲間を飼っていてよく聞かれるのが、「爪は切っていますか?」という質問です。
これはトカゲの種類にもよるのですが、ヒョウモントカゲモドキについて言えば、爪切りは必要ありません。
ケージ内を歩いていれば勝手に爪が磨り減ってちょうどいい長さになりますし、もともとそんなに長い爪ではありません。
特に切らなくても、ハンドリングして痛いと思うこともないでしょう。
ためしにハンドリングしてみれば分かりますが、人が手で持って「痛い」と感じるほど、ヒョウモントカゲモドキの爪は長くありません。
樹上性ではないので、体を支えるほど長い爪は必要ないのです。
日常的に爪切りをしないと爪が伸びすぎる、ということもありません。
ネコのように爪とぎするわけではありませんが、ふだんの生活で自然と爪が磨り減って、適度な長さに保たれます。
いざ爪を切ろうとしても、ヒョウモントカゲモドキの爪は小さく、どこまで血管が通っているかわかりにくいと思います。深爪で済めばいいですが、下手をすると指を切断してしまうこともあります。
爪切りしなくてもヒョウモントカゲモドキの健康に不都合はありませんし、ハンドリングできないということもありません。
予断ですが、私が飼育している10歳くらいのヒョウモントカゲモドキも爪切りをしたことはありませんが、問題なくハンドリングできています。
よほどの奇形などでないかぎり、ヒョウモントカゲモドキの爪を切る必要はありません。
爪切りが必要なトカゲは?
ヒョウモントカゲモドキから少し話がそれますが、では、「爪切りが必要なトカゲ」はいるのでしょうか。
原則として、野生で生きているトカゲは、その生活の中で適度に爪が磨り減っていき、常に適切な長さに保たれます。
自然環境に近い状態で飼えないトカゲ、特に樹上性(木の上で暮らす性質)の大型トカゲほど、爪を切ってやる必要があります。
まず、爪切りが必要になるのはグリーンイグアナです。2メートル近い巨体で木の上にするすると登るため、かなり鋭く長い爪をもっています。
どんなにおとなしくハンドリングできる個体でも、爪が刺さらないように力加減ができるわけではありません。
私もグリーンイグアナを飼育していたことがありましたが、座った私の膝にイグアナが乗っただけで、爪がジーンズを貫通していました。そんな爪で引っ搔かれれば大怪我になります。
同じ理由で、オオトカゲのほとんども爪切りをしないと痛くてハンドリングできなくなります。
大型種のミズオオトカゲなど、巨体に似合わずかなりの速度で走るため、スパイクのような機能を備えた頑強な爪をもっています。
オオトカゲと良く似たテグーという大型トカゲも、ハンドリングできますが爪切りが必要です。
これらのトカゲを飼育していて爪切りをしようとした場合、おとなしく爪を切らせてくれる個体などいないので、まずは押さえつける必要があります。
この時点で、飼い主が爪で怪我をする恐れがあるので、自信がなければ獣医師に相談するといいでしょう。
リクガメにも爪切りが必要?
爪切り話ついでに余談ですが、リクガメも爪切りが必要な生き物です。
野生のリクガメはのんびりとしたイメージとは裏腹に、1日かけてかなりの距離を歩いています。
ペットとして飼われているリクガメはどうしてもそんなに歩くことができず、爪が磨り減らないので伸びすぎてしまうのです。
伸びた爪を放置すると、やがて指が変形し、歩行障害を起こしてしまいます。
リクガメの爪切りはトカゲよりも簡単なので、飼っている方はぜひ定期的に爪を切ってやりましょう。
ヒョウモントカゲモドキは人に「なつく」ことはあるの?【まとめ】
ヒョウモントカゲモドキはとても飼いやすいトカゲではあるものの、残念ですが「なつく」ことはありません。
でも、ハンドリングできる程度には慣れさせることができます。驚かさないよう、ゆっくり時間をかけて慣らし、落下事故に十分注意して触るようにしましょう。
ヒョウモントカゲモドキを飼育していて、爪切りが必要な場面はまずありません。無理に爪を切ろうとして怪我をさせたら大変なので、そのままの状態で飼育しましょう。
他の樹上性大型トカゲやリクガメでは爪切りが必要な場合があるので、自分で切ってやるか獣医師に相談しましょう。