水槽のお掃除役、特にコケ取り係として、ヤマトヌマエビは高い人気を誇っています。
かなり頑固なコケでも食べてくれる上に、大食漢のためコケ取り効果が高いことが、人気の理由です。
そのため、多くの水槽で脇役として入れられていますが、メダカなどの小型魚が食べられた、という話もときどき目にします。
今回は、ヤマトヌマエビとメダカの混泳についてご紹介します。
ヤマトヌマエビはどんなエビ?
日本から東南アジアにかけて広く分布する淡水生のエビで、この仲間としてはやや大型です。
淡水生のエビではあるものの、「両側回遊型」であることが知られています。
これは、親エビは淡水で生活し、幼生は一度海の近くまで流下する生態のことをいいます。
魚のアユなどと同じ生態です。
ヤマトヌマエビの幼生は親とは違う姿をしていて、ゾエアと呼ばれています。
ゾエア幼生は泳ぐ力が弱く、水中を漂いながら植物プランクトンを食べて育ちます。
親と同じエビの姿になるまでに90日ほどかかるとされています。
ヤマトヌマエビの水槽内繁殖が難しいとされる理由がこれで、繁殖には海水でプランクトンを育てる技術と設備が必要になります。
熱帯魚の世界では古くから親しまれていて、水槽のコケ取り係として多く飼われています。
ヤマトヌマエビはメダカを襲う?
コケ取り要員であるはずのヤマトヌマエビが、メダカを襲うことなどあるのでしょうか。
結論をいうと、基本的にメダカがヤマトヌマエビに襲われることはありません。
泳ぐ魚を捕まえるのは、エビにとって簡単なことではなく、たいていはメダカが逃げ切ってしまうからです。
ヤマトヌマエビは雑食性で、植物質も動物質も食べます。
水槽内ではコケをつまんで食べる姿が目立ちますが、たとえば川でスルメを餌にしたトラップなどを仕掛けると、よく入ってきます。
よく観察していると、水槽内でも魚用の餌をこっそり食べている姿がみられるはずです。
動物質の餌が不足していると、同居している魚を襲おうとする仕草を見せることがあります。
先に述べた通り、基本的にヤマトヌマエビがメダカを襲ってメダカが食べられることはありません。
しかし、水槽が狭い場合や、弱って動きの悪くなったメダカの場合、捕まって食べられてしまうことがあります。
また、死んでしまったメダカを食べることもあります。
この様子から、ヤマトヌマエビがメダカを襲って食べると思われたのでしょう。
ヤマトヌマエビとメダカは混泳させないほうがいい?
個人的には、ヤマトヌマエビに捕まってしまうほど弱ったメダカはそもそも助からない状態だと思っています。
また、狭すぎてメダカが逃げ切れないような飼育環境は良くありません。
つまり、適度な広さで健康なメダカを飼っている限り、ヤマトヌマエビにメダカが襲われることはありません。
とはいえ、ちょっと心配になるかもしれません。
どうしてもエビとメダカの混泳が心配な場合、ヤマトヌマエビではなくミナミヌマエビの飼育をおススメします。
ミナミヌマエビも水槽のコケ取り要員として親しまれているエビですが、ヤマトヌマエビよりも草食傾向が強く、小型でおとなしい性質です。メダカが襲われる心配はまずないでしょう。
ただし、ヤマトヌマエビよりも小さい分、コケ取り能力はヤマトヌマエビのほうが上です。
より多くの数を入れればカバーできますし、ミナミヌマエビは水槽内で勝手に殖えていくのでだんだん多くなりますが、物理的に硬くて食べられないコケがあることも知っておきましょう。
ヤマトヌマエビはメダカを襲う、食べる?【まとめ】
基本的に、メダカがヤマトヌマエビに襲われることはありません。老衰や病気で衰弱したメダカが食べられたり、水槽が狭すぎてメダカが逃げ切れない場合に、ごくまれにメダカが食べられてしまうことがあります。
どうしても心配な時はヤマトヌマエビではなくミナミヌマエビを混泳させるといいでしょう。