ミナミヌマエビはかなり小型の淡水生エビ類ですが、私たちの食卓に上る食用のエビと同じ仲間です。
食用のエビを加熱調理すると、灰褐色だったエビが真っ赤になりますよね。
ところが、加熱調理などしていない水槽内のミナミヌマエビが、まるで加熱調理したかのように赤くなって死んでしまうことがあります。
せっかく抱卵して稚エビを楽しみにしていたのに、赤くなって横たわっていたらショックですよね。今回は、ミナミヌマエビが赤くなって死んでしまう原因について解説します。
Contents
どうしてエビが赤くなる?
実は、食用のエビが加熱されて赤くなるのも、水槽内で死んだエビが赤くなるのも、大きな意味では同じ仕組みです。
エビやカニなど「甲殻類」と呼ばれるグループは、体の中に私たちのような骨をもたず、代わりに体の外側を硬い殻で包んでいます。
この殻はいくつかの成分でできているのですが、その中のひとつに「アスタキサンチン」という物質があります。
通常、アスタキサンチンは他のたんぱく質と結びついているため本来の色を示しませんが、加熱されるとたんぱく質が壊れ、結びついていたアスタキサンチンが離れます。
このとき、アスタキサンチンがもつ赤い色が見えるようになります。
これが、エビが加熱されると赤くなる理由です。
もちろん、水槽内のエビが、たんぱく質が壊れるほど加熱されているはずはありません。
アスタキサンチンがたんぱく質と離れる理由には加熱以外の理由があり、アンモニアが関係しています。
簡単にいえば、水中のアンモニア濃度が高くなると、アスタキサンチンがたんぱく質と離れ、赤い色が示されるのです。
つまり、高温か、アンモニア濃度の上昇か、このいずれかの状態になったときに、エビが赤くなる可能性があります。
ミナミヌマエビが赤くなって死んでいる原因と対策
①アンモニア濃度が高い場合
水槽内でよくある状況なのは、水中のアンモニア濃度が高くなっている場合です。
ミナミヌマエビはコケ取り要員として水槽に入れられることが多く、水槽立ち上げの段階で入れられていることも多いのですが、この段階では水をきれいにしてくれるバクテリアが繁殖しておらず、アンモニア濃度が高くなっている場合があります。
しばらく水替えなどのメンテナンスをしていない場合も同様です。
このような環境では、ある日アンモニア濃度がミナミヌマエビの限界値を超え、死因となることがあります。
思い当たる節がある場合は、すぐに水替えを行って水中のアンモニア濃度を下げましょう。
②ヒーターが故障している場合
ミナミヌマエビを加熱する状況はあまり考えられないのですが、唯一あり得るのはヒーターが故障した場合です。
最近のヒーターは温度調節を電子式で行っていることが多く、壊れても温まらないだけで、温度が上がりすぎることは稀です。
ただ、小型水槽で容量の大きなヒーターを使っていて、何らかの故障で温度が上がり続けた場合、エビが変色するほど水温が上がる可能性もないわけではありません。
エビが死んでいるのを見つけたり、何かおかしな様子が見られたら、必ず水温をチェックしましょう。
③死んでから赤くなった場合
実は、一番多いのはこのケースです。
先ほど解説した通り、水中のアンモニア濃度が高くなるとアスタキサンチンが分離して赤い色を発色するのですが、エビが死んで腐敗が始まり、エビの体内でアンモニアが発生すると、同様にアスタキサンチンが分離します。
つまり、赤くなって死んだのではなく、死んでから赤くなったわけです。この場合、エビの死因は赤くなったこととは別に考えなければいけません。
ミナミヌマエビが赤くなる!?原因と対策【まとめ】
基本的には、エビが死亡すると赤く変色するケースが多く、赤くなってから死亡することはあまりありません。
いずれにしても、エビが赤くなってしまうのは水中のアンモニア濃度と深い関りがあるので、まずは水質維持に気を付けましょう。