基本的に、グッピーは丈夫な魚で、適切な環境で飼っていれば病気になることは稀です。
でも、ふとしたことがきっかけで体調を崩してしまい、状態が悪くなることもあります。
病気の初期症状が見られたとき、勧められることの多い対処法が塩浴です。
今回は、グッピーの塩浴について解説します。
塩浴とは?
グッピーに限らず、熱帯魚の具合が悪くなった時に勧められるのが、「水温を上げて塩浴する」という対処法です。
もちろん、具合の悪い個体を隔離していることが前提になります。
なんとなく、「魚病薬の前段階」的なイメージを持たれていることが多いかと思いますが、塩浴と薬浴は違うものです。
基本的に塩浴は、魚の体内と飼育水の塩分濃度を同じにして魚の体力の負担を減らし、抵抗力を高めて自然治癒を促すために行うものです。
塩で病原菌を殺菌するために行うものではないことを理解しておきましょう。
そのため、塩分濃度は0.5パーセント程度にし、数日~数週間様子を見ます。塩水で飼育する、というイメージのほうが合うかもしれません。
なお、塩で病原菌や寄生虫を退治するために塩浴を行うこともありますが、こちらは高濃度の塩水に短時間魚を入れるやり方で、魚への負担の大きい方法です。
上級者向けのテクニックといえるでしょう。
寄生虫や体表の病原菌には一定の効果がありますが、内臓の感染症には効果がありません。
グッピーの塩浴は?
グッピーは塩分に対して比較的高い耐性をもちます。
そのため、割と塩浴がやりやすい魚といえるでしょう。
0.5パーセントの塩水を作って隔離水槽を満たしたら、隔離するグッピーを入れます。
このとき、いきなり放り込むとショックが大きいので、ショップで購入した時と同様に水合わせを行います。
塩分耐性の低い種の場合は数日かけて塩分濃度を0.5パーセントに上げますが、グッピーの場合は30分程度の水合わせでじゅうぶん適応します。
塩浴期間はグッピーがかかった病気の種類や進行の程度によって違うので、一概にはいえません。
塩浴によってかかった病気の症状が消えるかどうかを観察しましょう。改善しなかったり進行し続ける場合、魚病薬を使う必要があります。
無事に治療が終わって元の水槽に戻す場合も、隔離した時と同様に水合わせをすれば大丈夫です。
塩分濃度と水合わせを忘れなければ、「塩浴のショックで死んだ」という話は聞いたことがありません。
塩浴中の管理は?
先に述べた通り、塩浴は塩による消毒が目的ではありません。塩水で飼育するようなイメージです。
そのため、食べるようであれば餌は与えた方がいいでしょう。
ただし、普段より少なめに、消化にいい餌を与えてください。食べ残しで水が汚れるので、餌を与えて数分後には沈んだ餌を回収するようにしましょう。
また、塩分を含んだ水では濾過バクテリアが発生しにくくなります。
淡水のバクテリアは塩水では活動できないので、飼育水に塩分を添加するとバクテリアはいなくなってしまいます。
さらに、のちに魚病薬を入れればバクテリアは死滅します。そのため、塩浴に使う水槽にはフィルターを入れず、エアレーションだけにしておくのがいいでしょう。
そのぶん、しっかりと水替えを行うようにしてください。
できれば2日に1度は水替えをすべきです。このとき、塩分濃度が変わらないように注意しましょう。
こういった事情からも、飼育水槽にそのまま塩分を投入して塩浴させるのではなく、具合の悪い個体を隔離して塩浴させた方が楽に管理できるのです。
まとめ
魚病薬で病原菌を退治するのは、魚の治療としては最終手段です。
魚への負担も大きいので、できればそうなる前に、塩浴で魚自体の抵抗力を高めて自然治癒を目指しましょう。