チンアナゴにもオスメスがあります。
オスメスがいるということはもちろん繁殖行動もあるわけですが、穴の中から移動をしない彼らはどんな方法で行うのか?
気になる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
一度だけ実際に繁殖をする様子を見ましたが、なかなか面白く、また実際に目撃するのは根気がいり感動ものでした。
今回はチンアナゴのオスメスについて、また繁殖について解説します。
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チンアナゴの性別の見分け方
チンアナゴの性別の見分け方は至難の業です。
初見で判断はできないのではと思います。
昔、チンアナゴ担当だった飼育員に話を聞いてみたことがあるんですが、彼は卵を出している個体の特徴をみて個体識別し、メスと認識しているようでした。
チンアナゴって個体で体格や模様の差はあるので、それをポイントに識別して、あとは実際の繁殖行動からオスメスを見分けるようにしていたようです。
未成熟の個体では判断は限りなく不可能だと思います。
成熟個体だとやはり卵を産むメス個体は体格が大きめで一回り太かったような印象があります。
チンアナゴの繁殖について
チンアナゴの繁殖は夜に行われる
気になるチンアナゴの繁殖は夜に電気を消した後で行われます。
チンアナゴは夜暗くなると、通常は穴の中に潜り休息します。
しかし繁殖時は、電気を消してもしきりに顔を出したりする個体や昼と同じように体を出している個体がでてきます。
飼育下での繁殖例は少ない方で、水族館でも確認例は私が知っている限り2館のみです。
うち1館は率先して繁殖記録を行い論文まで書いているので検索すればすぐに出てきます。
ちなみにチンアナゴの繁殖って魚業界的には大きな価値があることです。
というのもチンアナゴはウナギの仲間に属しますが、ウナギの仲間たちの繁殖はほとんどのことがわかっていません。
近年では二ホンウナギの産卵地特定や養殖技術の開発が話題となりましたが、これは二ホンウナギに限った話ではなく他のウナギ類でも同様のことが言えます。
なので、チンアナゴの繁殖がみられることもかなりラッキーな話です。
私も夜に、業務後の疲れと睡魔に襲われながら、目撃したときは感動モノでした。
チンアナゴの繁殖の不思議
YouTubeで産卵動画もアップされているので、それを見てもらうとわかるのですが、繁殖方法はユニークで、体全身が出ていることはなく、砂から出ている一匹のメスがカクカク体を動かしながら産卵をします。
産卵された瞬間に、周りの砂から出ているオスが精子をかけて受精が行われます。
卵は海水より軽いためそのまま浮いていきます。
おそらく海の中ではそのまま流されて、赤ちゃんの時はプランクトンとして生活を送り、大きくなったらあの砂に入る生活を送っていくのでしょう。
チンアナゴの繁殖の面白さ
チンアナゴは繁殖を行うときに、オスメスどちらの性別も砂からにょきッと出るのみで全身出すわけではない。
デフォルトの姿勢で移動することなく、そのまま卵と精子を水中に解き放つという手法をとるわけですが、この方法である場合気になる点がでてきます。
それはチンアナゴが体を出している位置です。
繁殖の手法からしてチンアナゴ達にとって位置取りの重要性が高いはずです。
私が見たのは一匹のメスに対して複数のオスが周囲にいる形だったのですが、おそらく意図的にその形をとっているはずです。
というのも、オスは自分の子孫を残すためにはほかのオスよりも狙っているメスと体が接近しているほうが受精させられる確率が高まるはずだし、メスはメスで狙いのオスに近いもしくはオスが複数いる場所に移動して受精率を高める形を取りたいはずです。
彼らの繁殖において、自分のいる位置はとても重要なはずです。
ケンカしているのもチンアナゴの性別が関係する!?
ここからは単に想像で書いていきます。まず位置が重要ということは、普段彼らがやっているケンカにも意味が見えてきます。
チンアナゴは海では群れで生活しています。観察していると、ケンカしている個体同士がいます。
このケンカはとても不思議なことがあります。
というのは近ければケンカしているというわけではないのです。
1列向こう側の相手とかに執拗に攻撃しているときもあり、ケンカしているのは、感覚ですが同じ個体同士でよく起きるような気がしています。
なんだか不思議だなぁとおもっていたのですが、これはおそらく各個体が理想の繁殖ポジションを形成するために来てほしくない同姓を攻撃して追い払おうとしているのではと想像もできます。
チンアナゴの繁殖は合コンの席取りくらい重要?
例えていうなら満員電車と合コンの席の違いというところでしょう。
満員電車でぎゅうぎゅうってストレスが高くてイラっとします。
よくおっさん同士が無意味な公論をしていたり、痴漢容疑がかけられるトラブルもあります。
実際にぶつかった、触ったかどうかはその時時あるのでしょうが、要は個体間の距離が異常に接近しているとストレスが高まりちょっとしたことでケンカに発展することがあるということです。
これは他の生物においてもみられる現象です。
チンアナゴの通常のケンカの場合は満員電車ではなく合コンの席取りのイメージではないかということです。
合コンで顔合わせして少し話をしたあと「あの子かわいいじゃん」とか「この子共通の趣味がある。
話が合うしデートに誘えそうだな」とかフィーリングがわかったあと、男はトイレで作戦会議をして席を変えていくわけです。
女性もまた然りでしょう。
これに近いことがチンアナゴでも起きているのでは?と想像できます。
チンアナゴの繁殖はいまだ未知の部分もある!
チンアナゴの繁殖はまだ調べがいがある部分もあり、ここからいろんなことがまたわかってくるでしょう。
しかしチンアナゴ合コン席取り説は、ぜひ調べてみたいものです。
だれか調べてくれないかなと思うこのごろです。