「小型できれい、飼いやすい」と、三拍子そろった熱帯魚であるベタは、初心者からベテランまで幅広い人気を誇る魚です。
特に飼いやすさ、というか丈夫さは有名で、ややその情報だけが誇張されて独り歩きしているところもあります。
今回は、ベタはヒーターなしでも飼えるのか、解説していきます。
ベタは熱帯魚なので寒さには強くない
大前提として、ベタは「熱帯魚」、つまり熱帯域に生息する魚です。
具体的には、タイなど東南アジアの池や沼などに生息しています。
もちろん、年間を通して日本よりも温暖で、人が「寒い」と感じることはほとんどない地域です。
そのため、ベタの適温も熱帯域の温度ということになります。
特にベタは低温に対してそれほど強いわけではなく、水温が低すぎたり不安定になると、すぐに白点病などを発症してしまいます。
ベタを健康に飼うためには、安定した適温で飼育することが大切です。
ベタに保温は必要?
ベタの適温は26~28度程度とされています。
年間を通してこの水温を維持するためには、何らかの保温(加温)が必要です。
無加温のまま室温で冬を過ごさせることはできないと思った方がいいでしょう。
他にペットを飼っていて24時間エアコンで室温を管理している場合、特にベタのための加温をしなくても飼育できる場合もあります。
ただ、多くの場合、そういった室温でのコントロールではベタの適温よりも水温が低くなることが多く、あまりいい環境での飼育にはなりません。
また、「気化熱」といって、水面から水が蒸発するときに水温が下がってしまうため、たとえ室温をベタの適温に設定していても、実際の水温はそれよりも低く不安定になってしまいます。
私の知っている例では、熱帯産のカブトムシを飼うために室温31℃に設定した部屋で、ベタがまったくの無加温で元気に暮らしているのを見たことがあります。
そういった環境ならベタに保温器具を使う必要はありませんが、あまり一般的ではないでしょう。
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ベタはヒーターなしで飼える?
ベタはヒーターなしで飼うのはおすすめできません。
一番いいのは、簡単なものでも構わないので熱帯魚用のヒーターを設置することです。
昔は温度調整装置であるサーモスタットとヒーターが別売りになっていることが多く、それぞれ揃えなければいけませんでしたが、今はヒーターとサーモスタットが一体化されたものが主流です。
本体を水槽に入れて電源をいれればすぐ使える商品ばかりなので、かなり手軽に使えると思います。
ただ、どんな小型ヒーターであっても、ガラス水槽で使うことが前提です。
ベタをプラケースで飼育している場合、爬虫類用のパネルヒーターが使えます。
特に、遠赤外線タイプのものは水槽の壁面を温めてくれるので、安定して加温することができます。
ただ、もともと爬虫類や小動物のために設計されたヒーターなので、ベタなど魚の保温に使うのは本来の使い方ではありません。
サーモスタットでの制御もできないので、よく水温やベタの様子をみながら調整しましょう。
また、大きめの発泡スチロール箱に遠赤外線タイプのパネルヒーターを貼り付け、その中に水槽を入れて、発泡スチロール箱のフタ部分をビニルカーテンにしてやれば、簡易な温室を作ることができます。
発泡スチロールによって断熱されているため水温が安定しやすく、ベタにとってはより良い環境になるでしょう。
爬虫類や小動物用の保温電球も売られていますが、電球では水はほとんど温められません。
遠赤外線ヒーターのように発泡スチロール箱に入れると、電球の熱で火災になる恐れもあります。ベタに限らず、熱帯魚の保温に保温電球は使わないようにしましょう。
ベタはヒーターなしでも飼える?【まとめ】
基本的には、ベタの飼育にはヒーターが必要です。
熱帯魚用のヒーターを使うのが一番確実なので、ヒーターが設置できるような大きさの水槽で飼育するようにしましょう。