熱帯魚や金魚を飼っていると、かかりやすい病気が何種類かあります。
エラ病もその一つです。
もちろん、丈夫と言われているベタであっても例外なくエラ病にかかってしまいます。
今回は、ベタのエラ病について解説します。
エラ病とは?
「エラ病」とよく言われますが、実は「エラ病」という病気はありません。
エラに発生する病気を総称してエラ病と呼んでいるのです。
エラは魚の体の中でも水の出入りが頻繁で、しかも水流が一方向なので、感染症等が発症しやすい部位です。
また、エラは魚の大切な呼吸器官で、エラに異常をきたすことは、人間でいえば肺が病気になるようなものです。
このため、エラに病気が発生するのは、進行も衰弱も早く危険な症状といえるでしょう。
エラ病の症状
エラ病と呼ばれる状態になる原因はいくつかありますが、症状そのものは共通しています。
・泳ぎかたがふらふらしている
・水面付近を漂っている、または水底でじっとしたまま動かない
・鼻上げ行為(水面から鼻先を出して口パクする行為)が断続的に続く。
これらの症状が見られたら、エラ病を疑いましょう。
ただし、これらの症状は酸欠とよく似ているため、区別が難しいかもしれません。
いずれの症状も、エラがうまく機能せず呼吸がちゃんとできないために現れるものです。
これは、水中の酸素が不足していても同じです。
このため、エラ病の症状と酸欠の症状は似ているのです。
ベタに関して言えば、もともと酸欠には強い体質の魚なので、少なくとも簡単なフィルターやエアレーションがかけられた環境で酸欠になることはありません。
また、ベタはエラとは別に「ラビリンス器官」という特殊な呼吸器官を備えていて、水中の酸素が不足した際には口で空気を吸い込み、ラビリンス器官を使って呼吸することができます。
このため、先に紹介したような症状が見られた場合、ベタではエラ病の可能性が高いといえるでしょう。
エラ病の原因
感染症
エラ病の原因には、大きく分けて2種類あります。
そのうちの一つが、細菌による感染症です。
主にエラ病の原因になる病原菌としては、水カビ病の原因である真菌類と、松かさ病などの原因であるカラムナリス菌が挙げられます。
真菌類に感染した場合、エラだけに発生することは少なく、体のほかの部位にも発生しているはずです。
体に水カビ病の症状が出ていてエラ病の症状を現わしている場合、エラにも真菌がついている可能性があります。
カラムナリス菌の場合、尾ぐされ病などの形で発症していることもありますが、内臓疾患という形で発症していると、見た目にはほとんどわからないこともあります。
寄生虫
細菌ではなく、寄生虫がエラについている場合があります。
寄生虫とはいっても肉眼で見える大きさとは限らず、判定するのは困難です。
特に、エラに寄生するものは微細な寄生虫が多く、寄生虫そのものを発見することはできないでしょう。
特徴として、エラに寄生虫がつくとエラの粘液の量が増えることが挙げられますが、これも外見ではわかりにくい変化です。
ベタにエラ病の症状がみられたら
飼っているベタにエラ病の症状が見られたら、すぐに治療を行いましょう。
まずは0.5%の塩浴を行い、様子をみます。
0.5%の塩水では殺菌効果も駆虫効果もあまり期待できませんが、魚自体の免疫力を上げる効果が期待できます。
塩と並行して薬も使いますが、細菌性と寄生虫では効果のある薬が違います。
原因を見極めてから薬を使うのが効果的ですが、先に述べた通り、細菌性か寄生虫かはなかなか判断できません。
そこで、最初はグリーンFゴールドなど細菌に効果のある薬剤を使い、しばらく経過しても改善しないようなら、駆虫効果のあるマゾテンなどを使いましょう。
ベタのエラ病【まとめ】
エラ病は放置すれば死に至ることもある恐ろしい症状ですが、治療できない病気ではありません。
症状をよく見ながら、落ち着いて対処しましょう。
ただし、もっとも大切なのはエラ病にしない管理です。
水質や水温が安定するよう、日ごろから定期的にメンテナンスするようにしましょう。