フードを見ていると、確かに柴犬専用フードには、「皮膚トラブルに対応しています」というようなコピーが書かれています。
*画像はイメージです。画像と本文と直接の関係はありません。
柴犬の全身の毛は、密度が濃くてフサフサしている印象ですから、寒さに強いのはわかります。
しかしその立派な毛が、時にトラブルの原因になることもあるのです。
その解決策の一つとして、全身の毛をバリカンでカットすることを実践している例があるので、ご紹介したいと思います。
Contents
柴犬の全身の毛の特性
柴犬はダブルコートという二層の毛を持っています。
外側の硬く真っ直ぐ伸びたオーバーコートの中に、断熱性に優れた柔らかく細い毛のアンダーコートがあります。
オーバーコートには撥水性があり、少しくらい雨が降っていても身体を震わせるだけで吹き飛び、皮膚までずぶ濡れになりにくくなります。
また内側のアンダーコートがあるお陰で真冬でも寒さを感じることなく快適に過ごすことができるのです。
またこの2つの優れた被毛は、真夏の強い日差しからデリケートな皮膚を守るという役割も担っています。
春と秋には、たいていの柴犬は換毛期を迎えます。
毎日スーパーのビニール袋いっぱいに毛が抜ける子もいます。
夏に向けて被毛を少なくしたり、冬に向けてたくさんの被毛を増やしたりするのです。
しかし今、柴犬は外犬ではなく、屋内で飼育されることが当たり前になってきているため、夏場のエアコンの涼しさで冬仕様の毛になったり、逆に冬の室内の暖かさで夏仕様の換毛が始まったりすることがあるそうです。
特に夏場に冬のような毛の量になってしまうと体調を崩す柴犬も増えてきます。
このような時にバリカンの使用を考える飼い主さんがいるようです。
柴犬が全身の毛をカットする理由
ここでは柴犬のトラブルについて実際にどうやって対処したか、実際の飼い主さんの例をご紹介します。
皮膚にトラブルがある場合
この子は現在10歳の黒柴のメスです。
子犬の頃からアトピーに似たアレルギー体質で、掻き毟って皮膚を傷めてしまっていました。
特に夏場になると体温の上昇とアレルギー反応とで痒みが増すらしく、一時は皮膚が見えてしまうほどに毛が抜けてしまっていました。
通院と飼い主さんの丁寧な薬浴のお陰で回復したものの、シニアになってまた再発の兆しが見えたため、飼い主さんは思いきってトリミングサロンでその柴犬の全身の毛をバリカンでカットしました。
とはいえ、当時8歳と高齢だったことと、女の子であること、皮膚を守るためにやはり被毛は必要だという理由から、頭の部分はそのまま残し、身体を7分刈りにしました。
私も見ましたが、刈り上げのように頭から身体にかけて馴染むようにカットしていたため、綺麗に仕上がっていました。
その夏は快適に過ごせたらしく、冬には均等に毛も生え揃っていたので、飼い主さんも安心したようです。
暑さで体調を崩す場合
こちらは現在5歳のオスの黒柴です。
前年の夏に体調を崩し、病院で夏バテと診断されました。
症状は嘔吐と下痢です。
その年は薬で治したものの、翌年また同じ症状が出たため、その年はお父さんがバリカンで5分刈りにしました。
身体が涼しくなったお陰で、その子はすぐに回復しました。
しかし散歩で会った時、お母さんは嘆いていました。
私も5分刈りになったその黒柴を見たのですが、黒いはずなのに灰色になっていたのです。
どうやらその子のアンダーコートは白っぽい毛色で、刈り込んだことでオーバーコートが減り、全体の色味が薄れてしまったようです。
「何だかもう、みっともなくて」 と、お母さんは泣き笑いの表情をしていました。
バリカンを使うメリットとデメリット
柴犬でバリカンを使うと聞けば、普通は肉球の間の毛をカットするという印象だと思いますが、ご紹介したように全身をカットする場合もあることがわかっていただけたかと思います。
では、柴犬の全身の毛をカットするメリットとデメリットにも触れておこうと思います。
メリット
②皮膚疾患がある場合、通気性を良くすることで悪化を防げる
デメリット
②虫に刺されやすくなる
こうしたメリット、デメリットを秤にかけて、バリカンを使わない選択をした飼い主さんもいます。
その子は1歳を過ぎても換毛せず、調べたところアンダーコートが絡み合って抜けた毛もそのまま残ってしまっていたことがわかりました。
バリカンで一度スッキリさせるという方法もあったのですが、まだ子犬であることやトレーナーさんにアドバイスを受けたことで、バリカンは使わず、トレーナーさんがアンダーコートの毛玉をほぐし、シャンプーをしてくれるトリミングサロンを変えたことで解決しました。
柴犬の全身の毛をバリカンでカットする理由!【まとめ】
柴犬の全身の毛をバリカンでカットするという行為は、賛成と反対に大きく分かれます。
ただ、やむを得ない事情があって、その方法で解決できた例もあるのだということもご理解いただけると良いかなと思いました。
柴犬にとって被毛は、自らの力で自分を守る優れた鎧です。
人間の都合ではなく、柴犬の健やかな生活のために、飼い主さんはベストな方法を探してあげられると良いですね。