愛犬がヘルニアになってしまったら、飼い主さんも心配でつらくなってしまいますね。
犬のヘルニアと聞くと「ミニチュアダックスフンドの子かな?」と思いがちですが、実はミニチュアシュナウザーやトイプードル、マルチーズなどでも起こることがあると言われています。
かわいい愛犬がヘルニアになってしまった、ヘルニアになるかもしれないと心配になってしまった、そんな方へ、今日はヘルニアとの付き合い方をご紹介します。
温める方法、散歩の注意、寝かせ方や手術について、ぜひ参考にしてみてくださいね。
Contents
「ヘルニア」は臓器が正しい位置にない状態のこと
「ヘルニア」と聞くと、腰のあたりにある椎間板が神経の方へ飛び出してしまう「椎間板ヘルニア」が真っ先に思い浮かぶ方も多いと思います。
しかし実際は、首や背中にもヘルニアが起こることがあります。
首の場合は骨の間にある軟骨が飛び出してしまう「頸部椎間板ヘルニア」があり、お腹や背中のあたりでは「鼠径(そけい)ヘルニア」「横隔膜ヘルニア」「臍(へそ)ヘルニア」などがあります。
これらのヘルニアは人間だけでなく犬でも起こることがあるため、どこにどのような問題があるかを特定するのはとても難しいと言われています。
犬に多いのは「椎間板ヘルニア」
いくつかの種類があるヘルニアですが、その中で犬に最も多いのは、腰のあたりにトラブルが起きる「椎間板ヘルニア」です。
これは生まれつきヘルニアになりやすい体質の子と、さまざまな日常生活の中で発生する子がいるので、いつどのような形で発症するのかはわかりにくいところがあります。
気になる時は、定期的に健診を受けて確認しておくと良いかもしれませんね。
ヘルニアが起こるとあらわれる症状とは
ヘルニアは本来ならあるべき場所ではないところに椎間板や内臓が飛び出してしまうことを言いますが、普段の生活の中でその状況に気づくことはできませんよね。
そこで「愛犬がこんな様子を見せたら注意」という主な症状を挙げてみます。
・フラフラする
・神経がマヒする(足先を触っても反応しないなど)
ヘルニアは悪化すると、痛み→フラつき→マヒと進行することがあります。
早めに気づいて対処してあげたいですね。
ヘルニアと診断された時の日常生活の注意
動物病院でヘルニアと診断された時、飼い主さんができることや注意した方が良いことを、まとめてご紹介します。
獣医さんともよく話し合って、愛犬に一番合った方法を試してみてくださいね。
体をほぐして温める方法
捻挫や打撲など急性の症状の場合は冷やすことが良いとされていますが、ヘルニアのような慢性的な症状の場合には温める方法が適していると言われています。
カイロで温める
柔らかいベッドや毛布などの上に愛犬を寝かせて、足や背中などヘルニアのある部分のまわりの関節などをゆっくり優しく屈伸したりさすったりしてほぐしてから、温かいタオルやカイロなどを当ててあげると効果的です。
カイロは直接当てたり長時間当てたりするとヤケドの原因になってしまうので、タオルでカイロを包んであげると良いでしょう。
また、低温やけどにならないよう、当てる時間の長さにもご注意くださいね。
半身浴で温める
このほかに、愛犬が嫌がらなければお風呂で半身浴なども効果があります。
小型犬なら大きめの洗面器にお湯を張り、ゆっくり浸からせてあげるのも良い方法です。
マッサージ方法や温める方法は、事前に獣医さんにも相談することをおすすめします。
愛犬の状態によってやり方が異なる場合もあるのでご注意くださいね。
ヘルニアの愛犬の寝かせ方
ヘルニアの場合は、体が水平に保てる状態がベストです。
例えば腰のヘルニアの子であれば、背中や腰を曲げたり伸ばしたりすることがつらくなるので、そうならない状態を保てるのが理想的です。
実際に腰のヘルニアになったミニチュアダックスフンドの飼い主さんによると、正しい寝かせ方というものは特にないそうです。
仮にあったとしても、結局はその子が楽に休める体勢が一番だということで、寝かせ方よりも「好きな体勢で寝られる広さや適度な弾力性のある寝床」を提供してあげる方が良いと話していました。
ヘルニアの子が楽にできる散歩とは
ヘルニアだからといって、ずっと家の中にいるだけだと筋肉が落ちてしまいます。
筋肉をきたえることで関節を支え、症状を和らげることができることもあるので、可能な範囲で散歩をしてあげるのが良いでしょう。
また、愛犬の精神的なダメージを防ぐためにも、外の刺激を与えることをおすすめします。
できれば、短めの散歩を1日数回行うことが効果的です。
アスファルトやコンクリートなどの滑りやすい場所は避けて、土や草の上のような柔らかく歩きやすいところを選んでみましょう。
手術を受けたミニチュアダックスフンドの子は、少しの間カートに乗って散歩をしていました。
時々下に降りて歩いて、またカートで移動するという具合です。
犬にとって外の空気を吸うことは楽しみのひとつでもあるので、できるだけ体に負担のない状態で外に連れ出してあげられるといいですね。
ヘルニアの子の抱っこにも注意
小型犬がヘルニアになると、飼い主さんは抱っこする機会が増えるかもしれません。
この時、前足の両側から手を入れて持ち上げたり、腰を曲げて抱きかかえたりしないようにご注意ください。
どちらも背中や腰に負担がかかり、症状の悪化につながることがあります。
抱き上げる時は前足の後ろに片腕を通し、もう一方の腕を後ろ足の間(お尻)から手を入れて、体が水平になるようにしてあげると体への負担を最小限にすることができますよ。
犬のヘルニアの手術について
ヘルニアの治療は、その子の症状によって変わります。
軽度な症状であれば、手術はせずに治療することも可能ですが、症状が進んでしまった場合には、時間のかかる内科的な治療よりも手術に踏み切った方が早く回復する場合もあります。
手術については獣医さんの指示に従って考えることをおすすめします。
近所でヘルニアを発症したミニチュアダックスフンドが2匹いますが、1匹は手術をせず、もう1匹は手術を受けました。
手術を受けなかった子は、散歩を休んで様子を見たり、少しだけ歩いてみたりという生活を続けていて、完治を目指すよりもヘルニアと付き合い続けるという形を選んだと話していました。
体に負担のかかる手術を心配して決断したそうです。
一方で手術をした子は、しばらくの間は飼い主さんがカートで散歩しつつ、リハビリを続けています。
手術によってヘルニアの痛みなどは改善されるのですが、その後のリハビリが手術と同じくらい大切だということで、術後のケアに力を入れていると話していました。
手術の必要性や内容、入院期間、その後のリハビリなどはその子の症状や年齢によって異なります。
最善の方法を見つけてあげたいですね。
まとめ
・ヘルニアの主な症状は「痛み」「フラつき」「マヒ」
・ヘルニアの子を温めるのは効果的
・寝かせ方はその子の楽な姿勢で
・散歩は柔らかい場所を選んであげて
・手術は獣医さんとよく相談を
ヘルニアは完治までに時間がかかり、長い付き合いになる子も多いと聞きます。
でも獣医学の進歩によって、人間のヘルニアの治療のように痛みや歩行障害などを最小限に抑えることもできるようになってきています。
きちんと動物病院で診察を受けて、その子にとって正しい治療法を見つけてあげてくださいね。