熱帯魚を飼っていると、意外なほど病気等のトラブルに見舞われます。
多いのは白点病など体表に病変ができる場合ですが、意外と多いのが目に関するトラブルです。
特に、ベタのように個体をよく観察するタイプの熱帯魚では、目のトラブルに気づきやすい傾向にあります。
今回は、ベタの目が白くなってしまう原因について解説します。
ベタの目が白濁するのは白内障?
よく、「うちのベタが白内障になりました」と相談を受けることがあります。
確かに、白内障は魚でも発症することのある病気ですが、ベタほどの小型魚では白内障かどうか断定することはできません。
白内障とは、厳密には眼球の中にある「水晶体」が何らかの原因で白く濁ってしまう病気です。
小さなベタの、小さな眼球の中にある水晶体の異常など、外観でわかるはずがないのです。
魚で白内障だと診断できるのは、アロワナなど大型魚の場合です。
一方、小型魚であっても、外見でわかるくらい目が白濁している場合があります。
これは、目に何らかの異常があり、免疫の作用で粘液が大量に分泌されて、目の表面を覆ってしまうためです。
目が白濁する直接の原因は免疫作用による粘液ですが、粘液が大量に分泌されてしまう原因はいくつか考えられます。
ベタの目が白い場合に考えられる4つの原因
水質の悪化
人間でもそうですが、目というのは特にデリケートな部分です。
そのデリケートな部分が直接触れている水の状態が悪いと、目を保護するために粘液が分泌され、目が白濁して見えることがあります。
ある日突然そうなることは少なく、数日かけて徐々に白濁が濃くなるパターンが多く、両目とも同時に進行する場合がほとんどです。
水質の悪化が原因なので、水替えによって水質を改善してやれば粘液の分泌が止まり、元の状態に戻ります。
ただし、あまり白濁している期間が長いと眼球の表面に水カビ病など別の病気を発生させてしまうこともあるので、早急に対応しましょう。
日ごろから水をきれいに保つことが大切です。
水温・pHの急変
変温動物である魚にとって、水温の急変は体温の急変を意味します。
仮に、28度に保っていた水槽に冷水をいれて20度にしてしまった場合、体温が8度も下がることになります。
単純な比較はできませんが、平熱が36.4度の人が急に28.4度になったら命の危険にさらされますね。
当然、魚の免疫機構はなんとかして体を守ろうとするため、粘液を急激に分泌することがあるのです。
また、魚の体の大部分は水が占めているため、水質の急変も体調に大きな変化を及ぼします。
急速にpHを変動させた場合も、同様の状態になることがあります。
水替えするときは水温を合わせ、新しく導入するときは水合わせをきちんとするようにしましょう。
目にけがを負った
流木にぶつかるなどして目にけがを負ってしまった場合、早く治すためにケガした部分を粘液で覆うようになります。
人間でいう、かさぶたと同じです。
この場合、けがをした方の目だけに影響が出ます。
目をけがした場合に特にしてやれることはありませんが、アクアセイフなどの保護剤を入れた水で養生することで、回復を早めることができます。
けがの程度によっては、回復しない場合があることも覚悟しましょう。
老衰など
魚の老衰によって、粘液の分泌量が以上になり、目が白濁してしまうことがあります。
この場合も、特にしてやれることはありません。
目が見えなくても餌は食べられるので、最後まで大切に飼育してやりましょう。
また、目に何らかの病気を患ってしまった場合も、病気に関係なく白濁してしまいます。
目だけに病変が現れることは少ないので、何の病気か見極めて、気付いた段階で早めに適した処置をしましょう。
まとめ
ほとんどの場合、目の白濁は水質の改善で解決できます。
すぐに感染症と思わず、飼育環境に問題がないか、よく検討してみましょう。