熱帯魚を飼っていて避けることが難しく、それでいて厄介な病気のひとつが尾ぐされ病です。
尾ぐされ病になるとひれが裂けたようにボロボロになってしまうため、観賞に大きな影響があります。
せっかく尾ぐされ病を治しても、ひれが元通りにならなければ困りますね。
今回は、尾ぐされ病にかかったときのひれについて解説します。
尾ぐされ病にかかるとどうなる?
尾ぐされ病は、カラムナリス菌という細菌に感染することによって発症します。
カラムナリス菌は水中に普通に存在する常在菌で、水質悪化などのストレスが原因で魚の免疫力が落ちたときに発症します。
カラムナリス菌は活動する際に酸素を必要とするため、魚の体内に入り込むことは稀です。
このため、ひれの先端など外側に近いところから感染が始まります。
カラムナリス菌に感染・発症すると、分泌される物質により魚のひれが溶けてボロボロになり、避けたような見た目になります。
このため、尾ぐされ病と呼ばれます。放置すればひれの大半が溶けてなくなってしまう上に、溶けた部分に水カビ病を併発することもあります。
常在菌なので根絶することは難しく、一度発症するとなかなか治りません。
そのため、尾ぐされ病は厄介な病気といわれるのです。
尾ぐされ病にかかったひれは再生する?
白点病の場合、治れば白点がなくなりますし、水カビ病の場合もカビがなくなります。
では尾ぐされ病の場合はどうかというと、ひれの劣化が止まるだけで、即座にひれが元通りになるわけではないのです。
進行が止まった状態が、尾ぐされ病の治癒状態だと考えるといいでしょう。
つまり、尾ぐされ病が治ってもひれが治るわけではないのです。
では、尾ぐされ病でボロボロになったひれは再生するのでしょうか。
これについては、魚の種類や体調、飼われている環境によって違うため一概には言えませんが、一般的に半分程度のひれが残っていればほぼ元通りになるといわれています。
キンギョなど一部の魚種では再生したひれの色が違うこともありますが、しばらくすれば見分けがつかなくなります。
ひれの半分以上がなくなってしまっている場合や、ベタなど極端にひれが大きな魚の場合、尾ぐされ病が原因で衰弱することはなくても、ひれが元通りにならない場合があります。
いずれにしても、初期段階で治療できれば、それだけひれの損傷を抑え、再生を早めることができるので、早期発見と治療が効果的です。
尾ぐされ病は自然治癒する?
ほんの少しひれの先端がささくれたようになっている場合、尾ぐされ病かどうか判断しにくいことがあります。
また、その程度の症状でグリーンFゴールドなど強めの魚病薬を使うのに抵抗がある、という方もいるでしょう。
では、尾ぐされ病を放置して自然治癒することがあるかというと、少なくとも私の知る限りではほとんどありません。
直接の原因菌であるカラムナリス菌が常在菌であるため根絶が難しく、一度発症するとなかなか治らないためです。
「ささくれたひれが数日後に治っていた」という場合、尾ぐされ病が自然治癒したのではなく、そもそも尾ぐされ病ではなく流木等でひれが傷ついただけだったと思われます。
尾ぐされ病を発見したら速やかに隔離し、魚病薬等を用いて治療開始しましょう。
また、治療後は元の水槽に戻す前に、「テトラ アクアセイフ」などの粘膜保護剤を入れた水で、魚の体調を整えてから戻すといいでしょう。
病み上がりの不安定な状態で元の水槽に戻すと再発の危険が高まりますし、粘膜保護剤を入れた水で飼育することでひれの再生を促進することもできます。
尾ぐされ病で傷んだひれは再生する?【まとめ】
尾ぐされ病は魚のひれに大きなダメージを与える病気で、悪化すれば死に至ることもある恐ろしい病気です。
早期発見と治療により完治できる確率も高くなり、ひれも元通りに戻りやすくなります。
病気にしないよう管理することはもちろん、病気に早く気付けるよう、日ごろからよく観察することが大切です。