ベタは初心者向けともいわれるほど丈夫で飼いやすい人気の魚です。
独自の呼吸器官をもつことから「コップで飼える」といわれ、ショップでもコップに入れられて展示されていることがあります。
一方、ひれを長く美しくする方向に品種改良されたため、「尾ぐされ病」にかかりやすくなったともいわれています。
今回は、ベタの尾ぐされ病について解説します。
尾ぐされ病とは?
熱帯魚がかかりやすい病気の代表格とも呼べる病気です。
原因は「カラムナリス菌」という細菌に感染することですが、カラムナリス菌自体は水中に普通に存在する常在菌です。
人が風邪をひくのと同じで、魚が体調を崩して体の免疫力が下がったときに発症しやすい病気といえます。
尾ぐされ病はその名の通り、発症するとひれの先端が溶けたようにボロボロになる病気で、尾ひれに限らずどのひれにも発症します。
放置するとえらまで発症してボロボロになり、呼吸できなくなって死に至る恐ろしい病気です。
ベタは尾ぐされ病になりやすい?
個人的には、この認識は少し間違っているのではないかな、と思っています。
ベタは特段、尾ぐされ病になりやすい魚ではありません。
そういわれるのは、尾ぐされ病になりやすい環境で飼育されていることが多いのと、ひれが長いために尾ぐされ病が目立ちやすいためではないかな、と思っています。
ベタが丈夫な魚なのは確かですが、だからといって狭い容器で飼育するのが適切なわけではありません。
コップのような小さな容器では水質管理も温度管理も行き届かず、病気になりやすい環境となります。
最低でも30センチ程度の水槽を使用し、フィルターとヒーターをきちんとつけて飼育するだけで、病気になるリスクは格段に減らすことができます。
ベタが尾ぐされ病にかかったら
さて、ベタが尾ぐされ病になった場合、どのような治療ができるでしょうか。
私が自分でやっている方法をご紹介しますね。
- 水温を30度まで上げる
- 0.5%の塩水で飼育する
- 「グリーンFゴールド」を使用する
この3点で、私は尾ぐされ病に対処しています。
尾ぐされ病の原因であるカラムナリス菌は非常に厄介な細菌で、高温にも塩分にも耐性があります。
カラムナリス菌がダメージを受けるほどの高温や塩分では、ベタが助からない可能性があるのです。
そこで、ベタの体力をあげるために水温を30度まで上げます。
水温計
この温度ではカラムナリス菌は死にませんが、ベタの活性を上げて免疫力を高める効果が期待できます。
塩分も5%ではカラムナリス菌には効きませんが、ベタの体内と同じ塩分濃度にすることで、ベタの体への負担を少しでも減らす狙いがあります。
尾ぐされ病の治療薬には何種類か知られていますが、私はグリーンFゴールドを使います。
魚病薬には染色系と抗生物質がありますが、グリーンFゴールドは抗生物質に分類され、より強力な効果が期待できると考えています。
もしもベタが末期の尾ぐされ病になったら
ひれが根元近くまでボロボロになった末期の尾ぐされ病については、おそらく治療は不可能だと思われます。
この状態で前述のような治療を行っても、ベタの体力がもたないでしょう。
特にグリーンFゴールドはわりと強い薬なので、末期症状で弱っている魚には使わないほうがいいとされています。
かわいそうですが、ここまでくると手立てがないのが実情で、できることとしては新たな感染魚を出さないために徹底して隔離することくらいです。
ベタが尾ぐされ病の末期に!【まとめ】
尾ぐされ病は再発も多い厄介な病気です。
ここで紹介した治療法で初期症状なら治せると思いますが、再発防止のためにしっかりと飼育環境を見直しましょう。
末期症状まで進んでしまうと助けようがないため、日ごろの水質管理と温度管理で魚の体調を整えておくことが重要です。