水槽のお掃除役や、単体でペットとしても飼われることの多いミナミヌマエビですが、エビの中でも飼育繁殖が簡単なことでも知られています。
一方、魚に比べるとエビは体が小さく、体調の変化がわかりにくい生き物でもあります。
ときどき聞かれるのが、ミナミヌマエビの体が白くなってしまった、という話です。
今回は、ミナミヌマエビが白っぽくなる原因について解説します。
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ミナミヌマエビが白くなる原因は白点病?
魚の場合、体に白っぽい色が出る病気で有名なのは白点病です。
白点病に感染すると、体の表面に白い粒が付着したようになり、その数が日増しに増えていきます。
エビの体が白っぽくなるのも、この白点病のせいではないか、と考える方がいるようです。
実は、エビが白点病にかかることはありません。
白点病の原因はイクチオフチリウスという寄生虫なのですが、寄生虫は種類によって寄生する相手(宿主)が決まっています。
イクチオフチリウスの場合、宿主は魚類に限定されていると考えられているため、甲殻類であるエビには感染しないのです
同じ理由で、貝類が白点病になることもありません。
ミナミヌマエビに関して言えば、白点病と見間違うような模様ももっていません。
体が白っぽくなる場合、白い点々で覆われるのではなく、体表の広範囲や全身にうっすら白いもやがかかったような感じになるので、白点病とは区別できると思います。
ミナミヌマエビが白くなる原因は、水カビ病の可能性
魚と同様の病気という線で考えるのなら、白点病よりも水カビ病の可能性が高いと言えます。
水カビ菌に感染すると、白い綿をかぶったようになったり、半透明の粘膜のようなものがまとわりついたりするようになります。
「水カビ」と一口に言っても何種類もいるため、中にはエビ類に寄生する水カビも存在します。
この場合、エビが白っぽく見えるはずです。
ミナミヌマエビを含むエビ類は総じて薬品に弱く、魚と同じ濃度の魚病薬には耐えられない場合がほとんどです。
また、魚よりも衰弱が早く助からないケースが多くなります。
もし水カビに侵されたエビを見つけたら、隔離して様子を見るのがいいでしょう。
衰弱したミナミヌマエビは白っぽくなる
個人的には、もっとも多いケースはこれではないかな、と思っているのですが、実はミナミヌマエビに限りませんが衰弱したエビは白っぽくなります。
衰弱といっても少し弱った程度ではなく、もうすぐ死んでしまう場合などです。
もともと、ミナミヌマエビの体はほぼ透明で、体が透き通っています。体が透き通って見えるということは、筋肉も透明だということです。
ところが、衰弱が進んでいくと、この筋肉が白っぽく変色していきます。
おそらく、死が近くなると筋肉が壊れていき、細胞が死んで白っぽくなるのではないかと思います。
原理としては、食用の生エビに火を通すと身が白くなるのと同じことです。
衰弱が進むにつれて白い部分が増え、あまり動かなくなるようです。
もちろん、死んでしまったエビは全身がうっすらと白く濁った色をしています。
衰弱が原因で筋肉が白く濁っているエビは、残念ですがすでにかなり弱っていると考えられます。
また、特定の原因で筋肉が白く濁るわけではなく、死が近づくと生じる症状のようなので、何か対策があるわけでもありません。
衰弱の原因が感染症の場合、他の個体が感染する可能性もあるので、隔離はしておいた方がいいでしょう。
ミナミヌマエビが白くなる原因は白点病それとも白カビ?【まとめ】
ミナミヌマエビはエビの仲間なので、魚類に限定的に感染する白点病にはかかりません。
エビの体が白いと感じた場合、水カビに感染しているか、衰弱が進んで筋肉が白濁していることが考えられます。
そういった個体を見つけたら、別容器に隔離しておきましょう。
エビは薬品に弱く、病気だとしても飼育者にできることはほとんどありませんが、他の個体への感染リスクは抑えることができます。