水槽内でも簡単に繁殖できるお掃除役として人気のあるミナミヌマエビですが、よく見ればエビ単体でも十分鑑賞に堪える魅力的な生き物です。
このエビを楽しむために飼育する方もいると思うのですが、ある種の魚のように意図的に水流を作って飼う必要はあるのでしょうか。
ミナミヌマエビにフィルターは必要!
意図的に水流を作る必要があるかどうかを考える以前の問題として、できればミナミヌマエビを飼育する際にはフィルターをつけて飼育しましょう。
ミナミヌマエビに限らず、水生の生き物を飼う場合は水質の維持が大切になります。
この水質維持の役割を担ってくれるのがフィルターです。
最近の流行で、コップや小瓶など小さな容器に1~数匹のエビを入れて飼育する例が見られますが、状態良く飼いたいのなら30センチ程度の水槽を立ち上げ、魚と同じように飼育しましょう。
このくらいの水槽なら、簡単なフィルターをつけることができますので、ぜひつけてあげてください。
見た目を気にしないのなら、エアリフト式の投げ込みフィルターで十分です。
水中ポンプ式のフィルターもかなり手に入れやすくなっているので、それらを使ってもいいでしょう。
どうしてもフィルターをつけられないのなら、せめてエアレーションは入れるようにしましょう。
ミナミヌマエビに水流は必要?
フィルターやエアレーションをつけると、必然的に水流が発生することになります。
では、その水流自体はエビの飼育に必要でしょうか。
ミナミヌマエビについては、特に水流を起こす必要はありません。
もともと止水性のエビで、池や沼に生息していることが多く、あまり水流のある場所には生息していないのです。
そのため、水流がないとだんだん衰弱していく、といったことはありません。
ただし、水流があると体力を消耗して弱ってしまう、ということもないのがこのエビの素晴らしいポイントです。
エアリフト式フィルターの弱い水流でも、水中ポンプ式フィルターの強い水流でも、流されずに元気に活動してくれます。
ある程度の水流の中で活動する様子は、見ようによっては水流で遊んでいるようにも見えます。
できれば、石や流木で簡単なレイアウトを施しましょう。
エビが疲れてしまったときに、これらのレイアウトにつかまって一休みすることができます。
ミナミヌマエビの繁殖に水流の影響はある?
せっかく水槽内繁殖が容易なエビなので、自分の水槽内で殖えてくれたらうれしいですよね。
ミナミヌマエビの繁殖に関しては、水流は特に影響しないと思われます。
ミナミヌマエビと同様にお掃除役として知られるヤマトヌマエビの場合、卵から孵るのはエビの姿をした幼生ではなく「ゾエア」と呼ばれるプランクトンです。
自力で泳ぐ力がほとんどないため、フィルターをつけているとどんどん吸い込まれてしまいます。
一方、ミナミヌマエビの場合は孵化直後からエビの姿をしています。
小さくてもしっかりとした脚があるので、ちゃんとものにしがみつくことができるのです。
このため、フィルターに吸い込まれることがあまりありません。
もし吸い込まれても、そのままフィルターボックスの中で生きていることさえあります。
親と同じ姿をしているので、フィルターボックス内の有機物をつまんで成長していることがあるのです。
これも、浮遊生活を送るヤマトヌマエビのゾエア幼生ではできないことです。
上部式フィルターや外部式フィルターの場合は吸い込み口にスポンジをつけてやることで幼生が吸い込まれるのを防ぐことができますが、エアリフト式のフィルターなら、幼生が吸い込まれる心配はしなくて大丈夫です。
ミナミヌマエビに水流は必要?【まとめ】
ミナミヌマエビを飼育するのにあたって、意図的に水流を起こす必要はありません。
本来は止水性のエビなので、水流がほとんどない環境に生息しているエビ類です。
ただし、水質を維持するためにフィルターはつけておくといいでしょう。