小型魚の代表格にして熱帯魚の花形ともいえるグッピーですが、水槽内を元気にヒラヒラと泳ぐ姿が印象的ですよね。
ところが、飼育しているとじっとしたまま動かないでいる個体に出くわすことがあります。
水面でぼーっとしていたり、水底で物陰に潜むようにじっとしていたり。
「出産前のグッピーはお腹が重いので動かない」という話もありますが、本当でしょうか。
今回は、グッピーがじっとしたまま動かない状態についてご紹介します。
グッピーは本来、活発な魚
まず知っておきたいのは、グッピーは基本的に活発で、常に泳ぎ続けている魚だということです。
夜間、照明を消した水槽では昼間ほど動かないこともありますが、少なくとも明るい時間帯はずっとせわしなく泳ぎ続けています。
だからこそ、オスの美しい尾ひれが映えるのです。
つまり、水槽内でじっとしている様子が見られたら、それは何か理由があると思っていた方がいいでしょう。
グッピーが動かない原因
水槽にいれた直後
私が受けたことのある飼育相談で、ショップでは元気に泳いでいたのに、自宅の水槽に放したらじっとして動かない、と電話で相談されたことがあります。
これは、ある意味仕方がありません。
いくら活発なグッピーとはいえ、水槽に入れられた直後は環境の変化についていけず、しばらく様子をうかがってじっとしているものです。
早いものでは数分、長くかかる個体でも次の日には、水槽内を元気に泳ぎ回っているはずです。
水槽に入れた直後はあまり脅かさないよう、そうっと様子をみておきましょう。
老齢の個体
グッピーは体が小さい分、どうしても寿命の短い魚です。
特に、繁殖を経験すると少し寿命が短くなるように思います。
また、体が小さいために体調の変化が早く、昨日まで元気だったのに今朝見たらぐったりしている、ということも珍しくありません。
飼育して数年経過した個体であれば、寿命で元気がなくなってしまう、ということも視野に入れておきましょう。
寿命以外に原因がないのなら、だんだん泳いでいる時間よりもじっとしている時間のほうが長くなるように変化していきます。
特にしてやれることはないので、大切に見届けてやりましょう。
妊娠メス
個人的には、あまりこの例は見たことがないように思っています。
妊娠している卵や稚魚の数が多い場合や、若くて体が発達しきっていないメスの場合、お腹が重すぎて満足に泳げず、水底でじっとしている場合があるようです。
これも、特に飼い主が何かできるわけではありません。
ただ、基本的にグッピーの出産は泳ぎながら水中で行われます。
出産のために水底にわざわざ降りていくことはありません。
体調不良
もっとも疑うべきは、やはりこの可能性でしょう。
元気に泳いでいるはずのグッピーがじっとしていたら、何かしらの体調不良である場合が考えられます。
少なくとも、水面付近でぼーっとしたほうに漂っていれば病気です。
水底でじっとしている場合も、泳ぎ回る体力がなく動けなくなっている可能性があります。
ただし、「じっとしている」という症状だけで何の病気か判断することはできません。
内臓疾患の場合は外見ではわからないかもしれませんが、じっとしている以外に何か症状がないか、よく観察してみましょう。
水温が低い
秋から冬、早春にかけて、ある日突然水底に潜ったまま動かなくなっている場合、ヒーターの故障による低水温が考えられます。
ある特定の個体ではなくその水槽内のすべての個体が水底でじっとしていたら、この可能性を疑いましょう。
ちなみに、遊泳性の強いどの種の魚でも、低水温では泳げずに水底に沈んでしまいます。
私はグッピー以外にエンゼルフィッシュやピラニアでも同様の状態を経験したことがあります。
即死するわけではないですし、適温に戻してやれば元気になりますが、水温変化は白点病の原因にもなります。
特に寒い季節は水温変化に注意しましょう。
グッピーが動かない?【まとめ】
まとめると、グッピーが動かない原因は次の5つです。
・水槽に入れた直後の個体
・その個体が老齢
・妊娠している個体だった
・何らかの病気や体調不良
・水温が低すぎる
それぞれ原因も対策も違うので、自分の水槽ではどれがあてはまるのか、よく観察してみましょう。