フェレットのベビーをお迎えした時に起こりやすいと言われる「脱肛」
トイレの後、丸まってお尻を舐めているので近づいてみると、肛門が真っ赤になっていてビックリ!!
何事が起きたのかと焦ってしまいます。
*画像はイメージです。画像と本文と直接の関係はありません。
見た目にはとても痛々しい脱肛ですが、これはなぜ起きるのでしょうか。
脱肛は、放置しても問題ないものなのでしょうか。
Contents
フェレットにおきる脱肛とはどのような状態なの?
肛門から直腸の粘膜が飛び出ている状態を、脱肛(直腸脱)と言います。
一番良く目にするのは、肛門が盛り上がり、赤いものが飛び出している状態です。
この赤いものが直腸なのですが、出血しているかのように赤みが強く見られることがあり、お尻から出血しているかのような印象を受けます。
脱肛はなぜ起こるの?
これは、ほとんどのフェレットが生後2週間ほどで、臭腺や性腺の摘出手術を受けていることが原因だと言われています。
何も手術を受けていないフェレットを「ノーマルフェレット」と呼びますが、臭腺を残し、去勢・避妊の手術をしていないノーマルフェレットの場合、オスでは発情期にかなりキツイ臭いを発するようになります。
メスの臭いはオスほどではありませんが、発情期に交配しないと、エストラスという病気になり、死んでしまいます。
そのため、家庭で無理なく飼育ができるように、生まれてすぐに手術を行うのです。
しかし、臭腺や性腺を取り除くことで身体の中に隙間ができます。
身体の成長とともに隙間は埋められるので問題はないのですが、ベビーフェレットの場合は隙間が空いた状態であるため、直腸が動きやすくなっているようです。
これが脱肛の主な原因と言われています。
ただし、脱肛は大人になってからも起こることがあります。
お尻を収縮させる括約筋が弱い体質の子に多いようです。
再発しやすい場合や、脱肛が戻らない状態になると、肛門の周囲を巾着状に縫合するような手術を薦められることもあります。
脱肛が起こりやすいタイミングとは
下痢や大きめのウンチをする時に力むことで起こりやすくなります。
うちのフェレットの中には、ウンチの時に宙を仰ぎながら、「ウーン、ウーン」と唸りながらする子がいました。
フェレットはもしかしたら、けっこう踏ん張ってする子が多いのかもしれませんね。
繰り返す、戻らない脱肛は放置しないで!
脱肛には痛みが伴うので、すぐに戻って元気にしていても、放置せず早めに動物病院で相談してください。
何度も繰り返すような場合は、もしかしたらお尻の筋肉(括約筋)が弱い体質かもしれません。
脱肛するたびに直腸が外気やトイレ砂などに触れて、菌に感染し炎症を起こす心配もあります。
さらに気になるのは、脱肛を繰り返す際に、下痢をしている時です。
液状の下痢とともに、消化不良などを表すツブツブした状態のウンチも、少し気にかけてください。
状態の良くないウンチが続く場合は、絶対に放置せず、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
もしも新しいフェレットを迎えて先住のフェレットが不自然な赤みのある下痢や、緑色の下痢とともに脱肛した場合、コクシジウム症(通称「お迎え症候群」)の可能性も否定できず、早い処置が必要です。
また、大人のフェレットでフラつきなどの症状を伴っている場合などは、インスリノーマの疑いもあります。
その他にも、誤食による腸閉塞や体調不良による下痢など、脱肛以上に気になる病気が潜んでいることもありますので、フェレットの様子にも十分注意してあげてください。
ベビーフェレットは脱肛しやすい
前項でお話ししたとおり、ベビーフェレットは臭腺と性腺の除去によって隙間ができて、脱肛しやすい状態にあります。
加えて、生後3ヶ月目辺りから、ふやかしフードからドライフードへの移行も始まります。
ドライフードをいきなりバリバリ食べ始めるベビーもいますが、水分量が減る分、ウンチが硬くなり、排泄の時に力むことが増えてきます。
元気で食欲もあるけれど、脱肛しやすい子の場合は、ふやかしフードとドライフードの割合を調整し、ゆっくりと移行するようにしてあげると、成長とともに手術後の隙間も埋まり、脱肛も治まってくることもあります。
飼い主にできる脱肛の応急処置とは
これには、様々な情報が錯綜しており、中にはやってはいけないことを紹介している例もあるため、注意が必要です。
脱肛の場合、「黙ってそのままにしておくこと」が、まずは大切です。
無理に押し戻そうとすることで、フェレットは痛みをさらに感じることもあります。
人間の手から菌に感染するとか、フェレットを傷つけてしまう危険性もありますので、焦らず冷静に対処しましょう。
獣医さんに連絡が取れる時間帯であれば、まずは電話で指示を仰ぎましょう。
その上で応急処置が必要ならやり方を教わり、病院に行くべきかを判断すると良いと思います。
焦って、自己判断でネットの情報を試すのは危険なこともあります。
病院と連絡が取れない時間帯であれば、翌朝まで様子を見ていても問題にはなりません。
フェレットの脱肛の手術費用はどのくらいかかる?
脱肛は、ほとんどの場合が自然治癒や軟膏での治療で治まります。
しかし、頻繁に繰り返したり、脱肛が戻らず状態があまり良くなかったりすると、手術を薦められることがあります。
手術は、直腸を体内に戻した後で、肛門の周囲を巾着状に縫合するものなので、他の手術などに比べると軽微な内容になりますが、全身麻酔が施されるため、慎重に行われます。
手術費用は、おおよそ5万円〜10万円で、こちらは病院によって異なるため確認が必要です。
入院の有無、手術前後の血液検査なども含めて料金を聞いておくと、備えられるので安心です。
完治までの期間により、治療だけでも5万円ほどかかることもあるようですが、どんな方法が一番フェレットの身体のために良いのか、獣医さんと十分に話し合うようにしてくださいね。
フェレットの脱肛は放置して大丈夫?【まとめ】
・見た目は、肛門が盛り上がり、赤いもの(直腸)が飛び出ている
・脱肛は、ウンチをする時に力んでしまうことで起こりやすい
・繰り返す、戻らない脱肛を放置するのは危険。
すぐ病院へ
・一時的な脱肛は、専門医に応急処置の指示を仰ぐ
・焦ってネットの応急処置の情報に踊らされないように
・一晩なら何もせず、様子を見る方が安全な場合が多い
・脱肛の手術費用は5〜10万円ほど。
事前に確認しよう
痛みを感じると聞いてしまうと、かわいそうでどうにかしてやれないかと、飼い主さんは気が気ではなくなると思います。
しかし、無理に痛がるフェレットのお尻に触り、さらに辛い思いをさせないよう、黙って見守り病院で適切な処置をしてもらうようにしてあげてくださいね。
また、他に変わったところはないかにも気をつけてあげてください。
フェレットは少しくらい体調が悪くても、隠して元気に振る舞ってしまうところもあります。
脱肛に気づいたら、早めに病院で相談してくださいね。