散歩に出る度に、見知らぬ柴犬の子犬に会うと言っても過言ではないくらい。
でもその一方で、「柴犬は嫌い」という犬の飼い主さんにもよく出会います。
小型犬の飼い主さんに多いです。
*画像はイメージです。画像と本文と直接の関係はありません。
同じ凶暴性でも、うちの犬のようなチビが頭突きするのと、柴犬のように少し大きめの犬が歯を剥き出して唸るのとでは、印象も違うのでしょうね。
ところで、ルーツを辿ると、その犬種の特徴が見えてきます。
日本在来の犬種は、6種類あります。
柴犬、秋田犬、北海道犬、甲斐犬、紀州犬、四国犬です。
これら全てのルーツは猟犬とされています。
「柴犬は凶暴」と言われてしまうのは、猟犬であることから受け継がれたものなのでしょうか。
Contents
猟犬の柴犬と、田畑を守る柴犬
柴犬の歩んできた歴史を振り返ってみましょう。
縄文時代、弥生時代の柴犬
柴犬の祖先も、やはり狩りをするために人間と共に生きたと言われています。
同時に、弥生時代に入って稲作が始まると、田畑を守る役割も担うようになりました。
洋犬が入って来たら、柴犬は猟犬ではなくなった?!
猟犬として活躍していた時代、柴犬は鳥や小動物の狩りを主に行っていたそうです。
しかし現代の柴犬は、ほとんど狩りには行きません。
洋犬が日本に入ってきたことで、狩りの様子は一変しました。
柴犬の場合、獲物に対してまっしぐらに突撃するという勇敢さを備えていたのですが、これが物音に敏感で逃げるのが速い鳥や小動物の狩りには致命的な欠点となったのです。
獲物を見つけた時に、いったん立ち止まり、ここだ!という時に飛び出すことができる、セッターやポインター系の洋犬の方が、狩りに向いていたのです。
柴犬の凶暴性は、猟犬の血から来ているわけではない
これは私が柴犬を見ていて結論付けました。
猟犬としての血が騒ぐ時
猟犬としての資質が残っているとすれば、飛んでいる鳥や転がったボールを追いかけて遊ぶ時でしょうか。
かつて猟犬だった時代に、鳥や小動物を追いかけていた頃の習性のようにも思います。
でも、カラスや鳩が何羽もいるところに突っ込んでいくのは、狩りをするというよりは、田畑を荒らす侵入者を追い払う行動のように思います。
捕まえるつもりなら、すぐに飛び立てる鳥の群に、真正面から突撃するのは無謀です。
公園で様々な犬種が入り乱れて遊ぶ時に、柴犬は走るスピードが速いので、もしかしたら柴犬の狩りのスタイルは、ひたすら走って追いかけるものだったのかな、とも思います。
主人に命じられ、一生懸命に獲物を追っていたのかもしれませんね。
田畑の守護神としての血が騒ぐ時
犬達が公園の真ん中に集まっている時、柴犬が少し離れた場所に座っていることがあります。
そして、突然吠えだすことがあります。
輪の中で話していた私達が驚いて柴犬の方を見ると、その先に腰の曲がった高齢者の方が歩いていることがあります。
また別の時には、2、3歳の小さな子供が、右に左に不規則な動きで、はしゃぎながら走り回っていることもあります。
柴犬から見れば、腰の曲がった、やや不自然な姿勢や、子供の予測不能な動きが、「怪しい、追い払わなければ」と思う対象になるのでしょう。
これは、田畑を守っていた時代に培った気質のように思います。
狩りをするのであれば、吠える行為は自らの存在をアピールするだけで、効果的な行動とは言えません。
この行動が役に立つのは、侵入者を追い払う時です。
でも人間から見ると、弱い立場にある高齢者や子供に突然吠えかかるというのは、好意的には受け止められませんよね。
こんなところに、「柴犬は凶暴だ」という汚名が着せられる理由があるのかもしれません。
柴犬は猟犬として狩りをしていたから凶暴性がある?【まとめ】
私は、柴犬が凶暴性を見せる時、それは獲物を仕留めようとする狩りの視線ではなく、飼い主と、その飼い主が大切にしている何かを守るための行動であるように思います。
柴犬は、柴犬なりの正義を貫いているような気がします。
しかし、それは時に「恐ろしい犬だ」という不名誉なレッテルの対象となります。
人間の社会でうまくやっていけるように、飼い主である人間のしつけが必要になりそうですね。
柴犬の優しく強い性格が世の中の人達に誤解されないためにも、全ての柴犬が適切な社会化を身に着けられるようになってほしいと思います。