飼い主さん達との会話の中に、「吐いちゃったよ」 という言葉が出ることも少なからずあります。
*画像はイメージです。画像と本文と直接の関係はありません。
犬は人間よりも吐くことが多いのはわかっているけれど、それでも心配になるから、みんなつい口に出してしまうのです。
柴犬が吐くのはどんな時が多いか、また吐いたものの色によってどんな風に対策を取ったら良いのか、私が見聞きした話などを交えてお話ししてみたいと思います。
Contents
柴犬が吐く時の原因と対策について
これまで自分が体験したり、飼い主さん達から聞いたことを、原因別にまとめてみました。
食べ過ぎ
9歳の柴犬の飼い主さんと遊びに行った時のこと。
昼食の時、鶏胸肉や砂肝をボイルしたものや、生鮭を焼いたものなど、いつもより多くのおやつを食べさせました。
その2時間後、歩いている最中に突然柴犬がお腹を波立たせ、「グブッグブッ」 とえづき始めました。
落ち着かない様子で少しの間辺りを歩き回った後、その子は昼に食べたものを吐いてしまいました。
少し白っぽい液のようなものの中に、肉や鮭がほぼ未消化で出てきていました。
吐いた後、その子はケロッとしてすっきりした顔付きでした。
飼い主さんは「いつも寝ている時間にたくさん食べちゃったからかな」 と言っていて、その後柴犬の様子に異変はなかったので、病院に行くこともありませんでした。
飼い主さんによると、こういう状態であれば数時間経てばまた普通にドライフードを口にするそうです。
ストレスなどのメンタル面の影響
現在10歳の柴犬です。
お父さんにはよく懐いているのですが、他のご家族が、寝ている柴犬が可愛くて無理に起こしたり、必要以上にスキンシップを取ろうとしたりして、ストレスで吐くことがあるそうです。
年齢的なものもありますが、柴犬は成長すると落ち着いた性格になる子も多く、良い意味で放っておいてあげることも必要になります。
この場合、柴犬の身体の異常ではないことと一過性の症状であることから、やはり病院に行くものではなかったのですが、ご家族の意識を少し見直す必要がありそうです。
別のストレスの例ですが、こちらは3歳の柴犬です。
この子はマイペースでクールな印象で、いつもお父さんを引っ張り回していました。
お父さんは自分の子分、みたいな。
でもお父さんがある事情でしばらく家を空けた途端、突然食欲がなくなり、嘔吐と下痢を繰り返すようになりました。
お姉さんがすぐに病院に連れて行き、ストレス性の胃腸炎と診断されました。
心の病はその問題が解決しないと完治はしませんが、胃薬と整腸剤が処方されたそうです。
プロの獣医さんでも心のケアは難しく、症状を緩和する対症療法しかないのです。
その後お父さんが帰宅すると、その子は即完治し、今は元気に過ごしています。
アレルギー反応
動物病院の待合室での出来事です。
私の目の前に、ワクチンを打って様子を見ている犬がいました。
中型の洋犬で、シニアに近い子でした。
私がボーッとその犬を見ていた時です。
突然その犬の口から柔らかいボールのような灰色のものが出てきました。
アレルギー反応で吐いたのです。
隣にいた飼い主さんが全く気づかず、周りの飼い主さん達に言われてようやくわかったほど、突然静かに吐きました。
幸い病院内でしたのですぐに処置してもらえて大事には至りませんでしたが、このような場合は一刻も早い対処が必要です。
もう一つ、こちらは犬ではありませんが、私がフェレットを飼っていた時にも、ワクチンでアレルギー反応を起こしたことがありました。
ワクチン接種してから2〜3時間後のことです。
それまで何事もなく眠っていたのに、急に起きてえづき始めました。
そして白い液体を吐きました。
すぐにもう一度病院に行き、処置してもらいました。
同じワクチンのアレルギー反応でも、その症状の出方には違いがあるようです。
草を食べた
これは犬の飼い主の間では日常的に出る話です。
犬は胃の調子が悪くて吐きたい時に、草を食べると聞いたことがあります。
特に細長いツンツンした草が人気です。
中にはサラダバーのように色々な草を美味しそうに食べて吐かない子もいます。
うちの犬もよく草を食べますが、一度も吐いたことはありません。
吐いた柴犬の飼い主さんの話では、こういう時、一緒に草がそのまま出てくることが多いそうです。
ウンチから草が出てくることもあるのだとか。
こちらも一過性の症状なので、何度も繰り返すことがなければ病院へは行かず、様子を見る飼い主さんが多いです。
喉や食道への刺激や詰まり
うちの犬の話になります。
胃腸がとても丈夫らしく吐いたり下痢したりということがほとんどないのですが、我が家に来た1歳半から4歳までの約3年の間に5回吐いたことがあります。
内4回が、食べたものが喉や食道を刺激して起きる「吐き戻し」です。
胃に到達する前に食べたものを吐き出します。
原因は、細い牛皮を編み込んだ歯磨きガムを長いまま飲み込んだ、小魚のおやつのささくれた部分がつかえた、1円玉くらいの丸く薄いドライフードを丸呑みして引っかかったと考えています。
こうした場合、ほぼ原型を留めた形で吐き出していて、色は白っぽくなります。
そして、吐いたものをまた食べようとします。
うちの犬はえづくことがないので、近くにいても全く気づかず、吐いたものを見て驚くという状態でした。
吐いたものをまた食べようとする時は、病的なものではないのであまり深刻に考えなくても良さそうです。
うちの犬もそれ以上吐くことはなく、落ち着くと元気にまたフードを食べていました。
ただ、原因と考えられたものは与えないことにしました。
中毒
近所に緑道があるのですが、細い道の両脇に雑草が生い茂り、夏場に一度除草剤を散布したことがありました。
その道を、知り合いのゴールデンレトリーバーが散歩で通った時です。
特に草を食べた様子はなかったようなので、鼻を擦り付けて匂いを嗅いだ時ではないかと飼い主さんは話していましたが、突然緑色のものを吐いて倒れてしまいました。
40kg以上ある大型犬なのに、一瞬の出来事でした。
何とか病院に連れて行き命に別状はありませんでしたが、たまたまこの子が体力のある大きな若い身体だったから助かったものの、小型犬などでは危なかったかもしれません。
もう1匹、こちらも大きな秋田犬ですが、やはり散歩中に何かを口にしてしまい、その後3日間嘔吐と下痢で生死をさまよいました。
その後しばらくはふやかしたフードも食べられず、缶詰のウェットフードをあげていたようです。
散歩中は人間や他の動物の嘔吐物や、人間の食べ物、薬品など危険がいっぱいです。
しかも嗅覚の優れた犬の方が先に見つけて近づいてしまうことも多いので、飼い主さんも注意が必要です。
この他にも、家でチョコレートを落としたことに気づかず、それを犬が食べて嘔吐を繰り返した話も聞いたことがあります。
この時は夜だったので、飼い主さんは片っ端から動物病院に連絡し、診てくれる病院を見つけて駆け込んだそうです。
散歩中だけでなく、身近なところにも危険が潜んでいるのですね。
病気
13歳のシェットランドシープドッグがいました。
公園に集まる仲間で、調子を崩し通院していました。
真夏で外に出られる状態ではなかったはずなのに、散歩に出たがるので、飼い主さんが自転車に乗せて公園に来ていました。
みんなで日陰に避難して話していたら、急にその子が歩き出し、その場でオシッコをしました。
オスの犬はオシッコをする場所にもこだわりがあるはずなのに、みんながいるど真ん中で。
良い状態でないのは一目瞭然でした。
排泄して座ったその子の口から、今度は黄色い絵の具を溶かしたゼリーのようなトロンとしたものが出てきました。
えづくこともなくいきなりです。
量も多かった記憶があります。
2日間食べていなかったらしく空腹のせいだろうと飼い主さんは話していましたが、その数日後にその子は亡くなりました。
吐いたことが直接死につながったとは言えませんが、病気に付随する症状の一つとして出たものなのかもしれません。
もう1匹の例は、14歳の柴犬です。
腫瘍ができて何度か手術していましたが、それでも元気そうに散歩していました。
異常な行動が出始めたのは、亡くなる2ヶ月ほど前からです。
常にお腹が空いて耐えられないらしく、ゴミ箱を漁るようになりました。
散歩に出ればおやつをくれる人に寄って行き、「なんかくれ」 といわんばかりに吠えます。
それはそれは元気な張りのある声で、病気だと思えないほどです。
私もその柴犬と仲が良かったので、身体に良さそうなおやつをいつもあげてきました。
しかし異常な食欲が数日続くと、今度は急に吐き続け、動けなくなりました。
病院に連れて行かれる状態ではなく、玄関に横たわったまま往診してもらってその場は何とか回復しました。
するとまた、以前と同じようにいくらでも食べてしまうのです。
毎日のように顔を合わせていましたが、少しずつ後肢がふらついているのがわかりました。
やがて吐く時期が再び訪れ、その子は息を引き取りました。
吐いたものの色による原因と対策について
素人判断には危険が伴いますが、吐いた時が動物病院の診察時間外だったりすると、思うように動けないこともあります。
そんな時、吐いたものの色やその後の柴犬の状態などから良し悪しを判断できることがあります。
白いものを吐いた
白く泡立ったようなものを吐いた時は、長時間何も食べていないことによる空腹が考えられます。
白いものは胃液のようです。
柴犬はなぜか頻繁に絶食する子がいたりするので、白いものを吐いた話をよく耳にします。
病的な要素は少ないでしょう。
食べない柴犬に無理矢理食べさせるのは難しいかもしれませんが、スープやウェットフードなど食べそうなものを工夫して、栄養を摂りながら空腹時間を減らすようにしてあげられるといいですね。
黄色いものを吐いた
黄色は胆汁の色のようです。
原因は白いものと似ていて空腹である場合も多いのですが、逆に食べ過ぎた時にも黄色いものを吐いたりするようです。
白いものと同じ対策で改善する可能性が高いのですが、食べ過ぎが原因と思われる場合は、逆に少し胃腸を休ませてあげることが必要でしょう。
絶食というよりは、ぬるま湯に浸したふやかしフードや、ウェットフードを少量ずつ与えるのが安全かもしれません。
また黄色の場合アレルギー反応の可能性もありますので、その後の様子にも注意が必要です。
フードを切り替えたばかりであるとか、普段与えていないおやつを食べたなどという場合は、アレルギー反応を起こしているかもしれません。
思い当たることがあれば、まずはその食べ物を排除してみるのも一つの方法です。
しかし吐くことが続くようであれば、すぐに獣医さんに指示を仰ぎましょう。
茶色〜黒色
未消化のフードなどが混ざっているような茶色であれば、食道や喉への刺激による吐き戻しなので心配要りませんが、消化されたものであったり、濃い茶色の場合は血が混じっている可能性がありますので獣医さんに相談することをオススメします。
腫瘍などが原因で出血したものが吐いたものに混ざると、濃い茶色から黒色のものを吐くようになるようです。
簡単に説明しましたが、心配が要らないとした色でも、その後にグッタリしたり身体が熱い、食欲がない、嘔吐と下痢を繰り返すなどの症状を伴っていたら、病院に行きましょう。
様子を見ているだけでは手遅れになることも考えられます。
また、匂いにも注意してください。
うちの犬が吐いた時は、フードの匂いくらいしかしませんでした。
胃からの嘔吐ではなく、食道辺りからの吐き戻しだったからだと思います。
また、病的ではない時は、吐いたものをまた食べようとするようです。
白や黄色の場合はもう一度それを口にしようとはせず、胃液の酸っぱい匂いがします。
危険なのは、吐いたものがウンチのような匂いの時です。
腸閉塞などで小腸まで到達したものを吐いた可能性があります。
その後の様子に関わらず、病院へ行ってください。
柴犬が吐く時の原因と対策【まとめ】
実際には、柴犬はよく吐くから、と様子を見る飼い主さんが大多数ですが、実例にもあった通り、いつもと様子が違うと感じると、みなさん必ず病院に連れて行っているようです。
いつもその子と一緒にいる飼い主さんだからこそ、色や匂い、その後の様子や経験から判断し対策を取っているのですね。
初めのうちはわからなくて心配で神経質になってしまうかもしれませんが、気になるなら病院に行くのも一つの選択肢だと思います。
ただ、自分の柴犬が吐いた時は騒ぎ立てず、冷静になることが大切なように思います。
柴犬は人間の心をよく理解します。
大変なことをしてしまった! と、吐くことに罪悪感が芽生えないように、また、吐いた時の状況や吐いたものを観察するため、吐いた時は静かに対応してあげられると良いのではないでしょうか。
そして吐いた後ですが、水を飲ませるのはやめてくださいと獣医さんに言われたことがあります。
水が胃に入ることで吐き気を誘発し、また吐いてしまうこともあるそうです。
自分から飲もうとするのを止めるのはかわいそうで私もできませんが、せめて飼い主さんが水を飲むように促すことはやめてみましょう。
でも空腹で吐いてまで食べない柴犬って、一体何をがんばっているのだろうと、みなさん首を傾げます。
私も時々、柴犬の不思議なほどの意志の強さに驚くことがあります。